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平成27年度 第1回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要


■日時:平成27年6月3日(水)17:30~19:35
■場所:市立函館病院 2階講堂
■出席者:岩田委員長,伊藤委員,鎌田委員,藤原委員,熊谷委員, 吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,藤田委員
■事務局:本間庶務課長,田中経理課長,野呂医事課長,大島医療連携課長, 船木医療情報企画課長,吉田参事,福井恵山病院事務長, 佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□本間庶務課長
 ただいまより平成27年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
 本日は27年度に入りまして,最初の委員会でございます。人事異動で委員および事務局職員の交代がございますので,最初にご紹介申し上げます。

【藤田委員(管理部長),田中経理課長,佐藤南茅部病院事務長を紹介】

□本間庶務課長
 それでは,本日の議題に入らせていただきます。岩田委員長の進行でよろしくお願いい たします。


2,議 事

■岩田委員長
 こんにちは。みなさんお忙しいところご苦労様です。できるだけ簡潔に会議がすすむよ うにご協力お願いいたします。
 それでは,次第の議題に沿って進めていきたいと思います。最初に平成26年度函館市病 院事業の経営実績について,事務局の方から説明をお願いいたします。
□資料に基づいて田中経理課長説明
 ・平成26年度函館市病院事業の経営実績
 ・平成17~26年度収支状況
 ・平成27年度函館市病院事業予算の状況


■岩田委員長
 ありがとうございました。昨晩から今日の会議をどう進めていくか,すごく悩みました。
まず,昨年まで順調にきて,あと残り一つの病院が黒字になればと思っていたのが,逆に 全部赤字になってしまったということです。今,赤字になった理由は説明がありましたが, 函館,恵山,南茅部病院の院長先生がいらっしゃいますので,今の説明で基本的には言い 尽くしているかどうか,簡単にお願いいたします。

■木村委員
 数字を説明すればこうなります。いくつか要件はあるかと思いますが,非常に大きな赤 字ですので,院長としては,判断が正しかったのかどうか,問題の残るところがあったと 思っています。
 支出が全部で170億くらいで,人件費が50%を切っていますので,他の支出をちゃんと コントロールすれば,黒字になっていいはずです。そこのところが充分でなかったと思い ます。
 この数年のお金のことだけを考えれば,ベストの判断は,ドクターヘリをお断りして, 産科診療再開を諦めれば,たぶん赤字になったとしても,1億くらいで済んだと思います。
 次善の判断は,両方やるにしても,工事をしない。古い病院のままでドクターヘリも産 科もやる。そうすれば,たぶん赤字は半分以下だったと思います。工事をしても病棟運営 には影響がない,入院患者は従来どおり入れて稼働できる,という報告を,事務方,業者 から聞いて,そのまま信用して,ゴーサインを出したということが,院長としては最大の 判断ミスでした。これだけ病棟が使えないということが前もってわかっていれば,この工 事にゴーサインは出さずに,工事無しでやるという次善の策をとって,赤字は半分くらい で済んだのではないかと思っています。
 そうはいっても,非常に良い救命救急病棟と,産科病棟ができました。それぞれ今まで のものよりも,収益性はいいはずですので,その分取り返すのに数年かかるかもしれませ んが,そこで何とか取り返すしかないと思います。26年度に関しては,そのように考えて います。

■泉山委員
 恵山病院ですが,概ね言い当てていると思います。退職金が主なマイナス要因になって います。ただ来年度も2名の退職者がいますから,甘んじている訳にはいかないと思って おります。
 入院患者さんが収益の大部分を占めていて,しかも,入院患者さん紹介元のメインは函 病であり,五病であり,中央病院ということで,函病も若干減っていますし,聞くところ によると,五病も患者さんが減っておられるということで,心配しております。できるだ け,関係を密にして,紹介していただくような努力をしていきたいと思っております。

■加藤委員
 南茅部病院です。前年度より入院収益は1千万円位落ちていますが,やはり退職金の部 分が大きいです。
 入院一般の方が,20~30人の間で変動があって,だいたい平均で25人くらいです。今日 も25人です。入院基本料は10対1で,90日越えの患者さんも結構います。今回の診療報酬 の改定で,90日越えの患者さんも出来高になったので,13対1から10対1にして,単価が ちょっと上がりました。ただその分,当然ですけれども,在院日数は21日ほどで,入退院 の調整が大変ですが,このまま続けていきたいと思っています。

■岩田委員長
 ありがとうございます。委員の先生方から何か感想等ございますか。

■伊藤委員
 厳しい話ですね。市立函館病院に質問です。ベッドが稼働できなかったというお話しで したが,ICU,HCU廻りはわかりますが,一般病棟にも影響はあったのでしょうか。

■木村委員
 たとえば,4階の病棟の工事をしましたが,その上下の病棟,2病棟約90床分閉じたとか, 屋上エレベーターの工事をしていて,6階5階の病棟を閉じたとか,要するに工事の騒音で 一般病棟を大量に閉じたということです。入院制限は工事しているところだけで済むだろ うと,近いところを少し動かせばいいだろう,くらいに私は思っていました。それが大量 のクローズとなってしまった。
 精神科の病棟が少し空いていたので,そこを使ったりもしましたが,医者の方からすれ ば,いつも使っている病棟がない訳ですから,よそに移しますといっても同じように診ら れるかどうかなど,なかなか苦労が多かったと思います。

■伊藤委員
 それは工事の組み立て方がまずかったのでしょうね。どうしても壊す時の騒音というの は出るので,それを集中的に最低期間でやる工法があったような気がします。

■木村委員
 そのとおりだと思います。工事を経験した後,自治体病院協議会だとか病院会だとか, 色々な院長先生に話を聞きましたが,そんなこと言われて信用した方が悪いから文句は言 うなと,誰に聞いてもそう言われます。そこが私の判断ミスで,ゴーサインを出す前に, 色々な病院の工事を経験した先生達に教えを請えば,多分,こういう計画は無理じゃない のかということが言えたと思います。その作業をしないで,ゴーサインを出してしまった というところが,一番の反省点だと思っています。

■伊藤委員
 今回,それだけの理由があって,おそらく半分くらいがその影響だという分析だったと 思います。今回は,なんと言っても消費税分が転嫁されまして,現実的に6,500億円減額 と一緒です。消費税分の影響なのか,受診抑制かどうかわかりませんが,たしかに全国的 に入院稼働率などが落ちています。全国の公立病院のようなところが,軒並み赤字になっ ています。たぶん,今回の診療報酬改正というのは,多分に大きなものがあったのだろう という気はしています。
 ここはそれに加えて,Ⅱ群からⅢ群になってしまいましたよね。かなり厳しい結果です よね。しようがない部分と言えば怒られますが,大変だったのではないかと思います。正 直それ以上言いようがないです。
 それから恵山ですが,全部療養ですよね。病床利用率の目標値がそもそも低すぎません か。実は,療養系は全国的にウハウハなんです。たぶん医療資源を最低限に抑えて,利用 率を高めているということだと思います。基本的に療養系は95%目指すべきで,最低でも 90%確保しないと,療養の病院は絶対にやっていけません。

■岩田委員長
 ありがとうございます。これについて委員の先生方から何かご意見等ございますか。

■吉川委員
 地理的な影響も少しあります。恵山の近くに他の医療機関があるなら別ですが,函館か ら患者を連れてこなければならない。そういう地域的なハンデがあるので,他の療養より 利用率は少し落ちるかと思います。そこを勘案していただきたい。

■伊藤委員
 急性期を終え慢性期の病院へ行く患者さんにとっては,たしかに市内での移動が便利だ とは思います。

■岩田委員長
 はい。他にご意見等ございますか。

■鎌田委員
 今の件に関連しまして,函館から移送がなかなか思ったとおりできなかった,というお 話しですが,最近,私の親戚で老人施設に入らないといけないことがあり,駆けずり回り ました。やっぱり,そういう施設でも近いところは入れないです。
 話を戻しますが,確かに,平均給与等から見ると函館の市民は貧しいし,函館市の財政 は厳しいですが,木村院長がお話しされていたとおり,取り返しをみせないといけない。 別に,函館市民も市の財政も数年待てないということはないと思います。いくらでも待つ わけですから,本当にいい病院にしていただければと心から思います。
 それから,事務局にご質問ですが,収支状況の10年推移の資料で,26年度に50億の特 別損失がありますが,これは何でしょうか。
 もう一つ,これは強い要望です。ディスカッションの始めから,黒字とか赤字とかいう 言葉が出ておりますが,公会計の悪いところで,資金と損益が混じっているところがある。 黒字だ赤字だと言う時の定義を明確にすることが重要だと思います。私でしたら,収益マ イナス費用が黒字,赤字,そのものの数字で,それで終わりです。あるいは,収益マイナ ス費用の中でも,特別損益を含まない収益マイナス費用が黒字,赤字ということもありま す。その他,単年度資金がどうのとか,いろいろな手法があるようですが,一回そこを明 確にしたい。我々が,委員会で使う黒字赤字の定義はこれであると,しっかりとした再定 義をしてから議論したほうがいいのかなと思います。
 あとは,木村委員から率直に工事の影響というお話しがありましたが,事務局の方で, 工事による影響というのを,数字でちゃんと出せればいいなと考えます。例えば入院だけ でも,延べ人数などがどれだけ削られたか,これによって収益がどの程度減ったか,工事 による影響というのは出せると思います。工事の影響で入院が減った時の利益と,工事を していない時の比較をして,一定の仮定の上でも出しておけば今後の参考になると思いま す。
 最後に,この資料の6ページです。非常に残念だったのが,職員給与費対医業収益比率, これが全国平均に比べてどちらかというと低めです。材料費対医業収益比率の方は高めで す。材料費がポイントということは,前から岩田委員長がおっしゃっていましたが,改め て再認識いただけたと思います。
 もう一つ,教えていただきたいのは,材料費等で薬品費とありますが,薬品以外の材料 とはどのようなものがあるのでしょうか。材料費比率の方が高め,薬品費比率の方は高い 訳でもなさそうです。材料以外の薬品の収益率が高いのでしょうか。どのようなものか教 えてください。

■木村委員
 カテーテルやコイルなどで,専門的な医療に使う消耗品が結構高額です。専門性の高い ものだと高額だということと,例えば,治療がうまく進んで,一個で済むといいですが, 何個も必要な時もあります。治療に使う薬以外の消耗するものがメインです。

■鎌田委員
 この数字だけ見ますと,薬品費比率は全国平均に比べてなだらかにいっています。今年 はちょっと高いようですが,材料費で,今おっしゃったようなもの,これが高めに出てい るのかと思います。その部分を安く購入する工夫というのはありますか。そこを検討して いただけたらと思います。

■岩田委員長
 今のお話しは,一回で終わるものを,三回,四回トライしているということですか。

■伊藤委員
 カテーテル1本というところを,3本使わないといけないという時があります。

■岩田委員長
 カテーテル3本分を治療代に乗せるのか,2本は病院で責任取るのか,そこのところがよ くわかりません。

■伊藤委員
 先進医療の場合などは請求されますが,病院負担の場合もあります。

■岩田委員長
 技術力の問題もありますか。

■木村委員
 極端に言えばそうです。一回で決まればコストパフォーマンスもいいですが,一回で決 まらないからといって,やめましょうという訳にはいかないので,目的を完遂するまでは やるわけです。それが3本の時もありますし,極端に言えば10個近く使う場合もコイルな どではあります。技術力と言ってしまえばそうですが,逆に言えば難しい症例で,他では ギブアップしてしまうものでも,ギブアップしないで頑張ってもらいたいということもあ ります。うまくいかないから撤退ということにはならないので,現場がやれると思うもの はやっていただくというのが,病院の方針です。

■岩田委員長
 平均的に,回数的には多いですか,少ないですか。

■木村委員
 これまでもこの会で話していましたが,今まで私が院長になってから,幸い黒字だとい うこともあって,自分達の診療科,部門で,もちろん経費は削減する方向で,これでよし と思うことをやってくださいと言っていました。ただ,今回,26年度の結果を受けて, 民間のコンサル会社のベンチマークを入れました。まだ,全部の結果はきていませんが, 例えばカテーテル治療だとすると,全国何百病院の中で,当院が費用をかけているのか, かけていないのか,かけているとすれば,どういう部分にかけているのかまでわかる,全 国標準とのベンチマークをするようにしました。病院としてはかなり大きな方針の変更で すが,少なくとも,標準を超えている部分に関しては,全国標準に近づくところまでいけ る方法を考えて欲しいと提案しています。もちろん,10個の提案で10個全部はできないか もしれませんが,これならできるという事を,全ての診療科,全ての部門で,病院の方か ら提案するという形を今年は取ろうと思います。そういうことで,診療コストの一定の削 減はできるのではないかと思います。

■岩田委員長
 そのスケジュールはどうなっていますか。もうすでに分析が始まっていますか。

■木村委員
 一部結果が返ってきて,一部は診療科に戻しています。例えば,今まである手術をした 後に,我々の病院は4日間抗生物質を使っていました。しかしほとんどの病院は,3日間で やっていますという場合,もちろん,5日間,6日間使っているところもありますが,3日 間に変えて1日分減らしてくれという検討で動き始めているところもあります。

■岩田委員長
 分析そのものは,担当の診療科の先生が自分でセルフチェックして報告されるのですか。

■木村委員
 いいえ。コンサル会社が出してきたものを,私や管理部門が見て,その中で診療科に対 して,これはアプライできるのではないかというものを,診療科に対してここを頑張って くれという形で提示しています。

■鎌田委員
 木村委員がおっしゃったようなデータ,資料,あるいは資料に関連したものを,この委 員会でお示しいただくということは可能ですか。

■木村委員
 それは大丈夫です。

■鎌田委員
 ただ御託ばかり議論しているより,具体的で前向きだと思います。

■岩田委員長
 やっぱり,得手不得手があって,この病院はここらへんが弱いのではないかという,そ ういうことを教えていただく方がいいのではないかと思います。

■木村委員
 こういうところが他の病院に比べて,経営的に上回っているとか劣っているとかが出ま すから,自分たちがこれまで,この部分は得意だとか不得意だとか思っていたのと,客観 的に出てくるものが,どれくらい一致するかというのがわかります。
 何年か前からもご指摘いただいていますが,全部の診療科がフル装備ではなくてはいけ ないのかということは,そろそろ真剣に考えた方がいいと思います。うちだけではなく, 主なる急性期病院みんな,得意分野の住み分けを本気でやっていかないとならないと思い ます。

■岩田委員長
 はい,その件はまた別途検討お願いします。藤原委員お願いいたします。

■藤原委員
 先ほど木村委員から,ドクターヘリのための病床改装のため,患者減で収入減というこ とでした。逆な言い方をしますと,企業でいう先行投資だと思えば,それをこれから取り 返す,今までの失敗が今後病院を立て直す,大きな力になると思います。救急病床やドク ターヘリに今後期待して,ある程度の期間までと決めて,マイナスになった分を返済して いく計画を立てていってもらえたらいいのではないかと思います。

■木村委員
 先ほどは,この数年間の経営だけを考えると,ここはマイナスだと申し上げました。長 い目で見た時には,もちろん,今までに比べてはるかに精度のいい病棟を作りました。そ れから,産科の病棟も昔に比べると,はるかに使い勝手のいい,機能のいい病棟を作りま した。それだけコストをかけたので,収益を上げなければなりません。重症度の高い急性 期の患者さんを診る病院だと考えています。そういう重篤な患者さんをしっかり診られる ような体制を作ったということは,長い目で見れば間違ってないと思います。ただ,目の 前のことを考えると,あまりにも負担が大き過ぎたので,現時点で我々の病院が持ってい る体力からみると,ちょっと大きな投資をしたなと感じております。

■藤原委員
 ドクターヘリが飛ぶようになって,今年になってから恵山に何度か飛んできました。と ても便利になっていると思います。
 それから,恵山の療養病棟の患者数の減少ですが,旧恵山町自体の人口が4,000人,旧 椴法華が1,000人くらいで,旧戸井は3,000人ほどです。その中で病院の他に,老人ホー ムが2つと,それから,女那川と戸井に新しく施設ができました。けっこう選択肢が増え たと思います。恵山の老人ホームで30年くらい経つ施設があり,そちらも最近入所する方 が減ってきています。市立病院の方から患者さんを送ってもらう方法を考えていただけた らと思います。

■岩田委員長
 ありがとうございます。熊谷委員お願いいたします。

■熊谷委員
 藤原委員がおっしゃられたことと重複するところがありますが,平成25年,26年と11 億もかけて設備投資をしたものについては,将来的にみると,プラス方向に向いていくと いう思いもあります。
 それから,平成26年度の実績と27年度の予算の比較がありますが,9億5千万円が3億 5千万円に圧縮するという努力目標がありますが,これは評価するところだと思います。そ の中で,精神病棟が医師の不足のために,急に減りましたという説明がありましたが,そ のことについて,今後,精神科の医師を増やす思いがあるのか,それで,収入を増やして いくというような思いがあるのか,お聞きしたいです。

■木村委員
 収入にどの程度結びつくかというのは難しいです。精神科で収入を取るというのは,か なりの規模で運用しないと難しい状況にはあります。しかし収入ということを切り離して 考えると,我々のような急性期の病院には,今は精神科が必須です。高齢者が多くて,認 知症の方が多いとか,せん妄の方が多いだとか,昔だと,ご家族が看てくれたりしていま したが,ご夫婦で暮らしていたり,あるいは,独居で認知症という方がたくさん増えてき ています。そういう方を診られる精神科医が必要ですが,今は医師が一人でベッドがない ですから,体の状態が良くなっても,精神症状がまだ残っている方は,行く場所,入院す る場所がありません。やはり我々の病院としては,精神科のベッドを一定数再開させて, 患者さんがある程度落ち着くところまで面倒をみて,社会にお戻ししたいというのが一番 の目標です。ですから,医師が三人いると何とかできそうなので,道内の各大学等々お願 いしてまわっています。なかなか精神科の先生は多くないので,苦戦はしていますが,病 院としては,入院診療を再開したいというように考えて努力しています。

■熊谷委員
 先ほど木村委員もおっしゃいましたが,それぞれの得意分野の中での,専門的な住み分 けをするような,全国的にみても,そういう都市はあるという説明もされていましたので, 今後函館市としても,市内の個人病院も含めた形の中で,それぞれ患者さんをお願いして, 函病は函病として独自性のある病院にしていく。急性期の病院ですので,そういう重篤な 患者さんを受け入れないといけないという使命はありますが,それぞれ得意分野の中で収 益を上げていく病院経営というのは,必要なのではないかなと思います。何でもかんでも やるということではなくて,それぞれ,分担した形の中で,地域の人たちの生命を守って いく,という方向がいいのではないかなと思います。経営ですから,黒字にするためには, お願いしますと来た患者さんは受け入れないといけない事情もありますから,そこを今後 考えていただけたらと思います。

■岩田委員長
 今の件は,最近出た話ではなくて,だいぶ前から話はあったはずですが。

■木村委員
 地域医療構想という国の方針が出ています。大雑把に言うと,基本的には二次医療圏単 位で,地域の医療機関で話し合って必要なベッド数まで含めて考えてくださいということ です。場合によっては,二次医療圏を超えて三次医療圏でということです。この6月から 本格的に始まり,27年度中には何とか一定の目安を出すことになると思います。新しい公 立病院改革プランは,地域医療構想と整合性のとれたプランを作りなさいということに なっています。ですから逆にいえば,こういう場を使った方がいいのかなと思います。ベッ ド数の問題だったり,それぞれの病院の得意分野だったりということが,そういうところ で話し合われないようでは,たぶん,役割分担しましょうといっても,具体的に決めま しょうとはならないと思います。

■岩田委員長
 委員のみなさんの意見をお伺いして,私は多少違和感を覚えるところがあります。なぜ かというと,改革プランというのは,見かけ上の数値をプラスにしながら,維持していく ための体制をつくりましょうということですよね。4年間,色々なことを私も言わせていた だいて,その中でみなさん頑張られてプラスになった。ところが今日,もっともな理由な のですが,目に見えて赤字です。それを是としていたら,また数年前の,市長から改革プ ランを見てほしいと言われた時と同じ状況になります。やっといいところまで来て,先ほ どの鎌田委員のお話しでは色々な数字の出し方があるようですが,私からみれば,水面か ら顔を出したと思います。再び水面下に頭を下げることは,やはりある意味許されないこ とです。
 基本的なところでお願いしたいのは,26年についてはそうなった。27年もマイナス予算 ということで,そこまではやむを得ないでしょうけれども,これから先の何年かについて, リカバリープランというのをちゃんと作っていただけないものかと。これをやったらこう いうことが起こるのではないか,1年間,2年間,3年間の業務計画の中で,こういう業務 をしたらこれだけのリスクとこれだけのプラスが出るということを,どこかで必ず試算し て,それに対する影響を考えて欲しいです。先にマイナスが出てもいいからやるという話 もあるだろうし,2つも3つも重なったからという話もあります。例えば,たまたま今回は 精神科に特化しましたが,今の公立病院の医師不足というのは何年も前からあって,こう いうことは必ず起こってくる。一つや二つのアゲンストを抱えた瞬間にボンと赤字が出る。 その体制自体に私は危機感を感じております。理由を聞けばそうですが,逆に,マイナス が出ない年はたまたま何もなく順調に進んだとしか思えない。どんな世界でも,順風満帆 だけを前提とした運営はないと思います。
 今回の資料や過去の会議の内容を見ていくと,やっぱりどこかに,我々が考えなかった 抜けがあったのではないかと思います。ずっと考えていましたが,やっぱり,人口の問題 があるのかとは思います。函館市,北斗市,渡島,檜山,このあたりの人口が毎年3,000 人から4,000人の規模で減っています。何回目かの会議でこれを言ったら,人数は減るけ ど患者は増えるという説明を受けましたが,絶対数が減っていけば,当然減っていきます。 数と収入を前提とする企業運営というのは,そろそろ行き着くところがきていると思いま す。インカムは一定だけれども,アウトプットのレベル,経費のレベルでどう頑張るかと いうことが大事です。これからずっと赤字経営の話が出てくると思います。
 公立病院ですので,必ずしも儲けなければならない訳ではないと思いますが,ずっと赤 字ということは,ずっと一般会計から税金を注ぎ込むということです。そこを許されない 世界もあると思います。現に説明があったと思いますが,20億前後,一般会計からこの病 院に繰入れているわけですよね。それは公立病院としての責務に対しての費用だと思って いますが,それを超えてどんどん増えていくことはやっぱり許されないと思います。
 個別のことを言う前に,いろいろな問題に対して,何年後にここまでいくという事業目 標を立てて,それを誰が担当するかというアクションプランを持っていただきたい。例え ば,ある診療科が突出して費用が多すぎる,そこを落とすとしたらどうするのか。今回, コンサル会社を入れられたということで,構造的な分析ができるのではと思います。せっ かく出た分析を利用していただいて,詳細に分けた目標設定をして,それを達成していく 方法があればいいなと思います。
 私が企業にいた時には,1円,0.5円単位でのコストダウンをして儲けを出していました。 それが企業計画で,そろそろ病院もそういうことをしなければならないのではないでしょ うか。

■木村委員
 そのとおりだと思います。今までそういうことはあまり気にせずに,みんながいいと 思ったことをやってくれて,それで収益が上がれば,あまりきちきち言いませんというスタ イルできました。28年度,30年度の診療報酬改定はものすごく厳しいものになりますから, そこに思い切って手を入れないと,黒字になるのは厳しいと容易に想像できます。
 それぞれの部門で標準から外れている部分がわかりますので,それが,この半年間でど のくらい変わったかをチェックし,提示していきます。一つの診療科,部門で,一律何% という言い方ができるかどうかは難しいので,提示の仕方を工夫してやっていかないとい けないのかなと思います。
 もうひとつは,考え方が難しいですが,診療報酬点数はそれにかかる費用によって組み 立てられているわけではありません。この治療をすると,これだけの道具,薬があって, 医師,看護師をこれだけ使うからということではなく,もっと違う要素で決まっています。 同じようなことをしても,すごく高い点数が付いているところと,すごく安いのがありま す。やはり,同じように努力をしても,収益を上げやすい科と,なかなか上がらない科が あります。そこは不採算部門ということで交付金も入れてもらっていますが,交付金だけ では間に合わない不採算部分も当然あります。不採算だからそこはやめましょうといって しまうと,何のための自治体病院なのかという議論になってしまいます。そこのところは, バランスを取りながらやりたいと思います。
 基本的には,最低限イーブン,今年は赤字予算を組みましたが,もちろん目標は1円で もいいから黒字を出そうというのが病院全体の目標です。

■岩田委員長
 私の感想は皆さんご承知なので指摘はないと思います。
 もう一つ,精神科の先生がお辞めになったという理由はよくわかりませんが,やっぱり, この病院でよかったというムード作りも必要かと思います。下手にギリギリ言って辞めて しまうと困るので。難しいなとは思いますが。
 何かご意見ございますか。

■鎌田委員
 先ほど申し上げたことの確認になりますが,10年推移は非常におもしろい資料だと思い ます。26年度の特別損失50億円,それから収益の方の,長期前受金戻入7億円。今はお時 間もないですし,もっと実のある議論も必要ですので,また次回お願いします。黒字,赤 字を話す時には私はマストだと思います。必ずしないといけないことだと。きちんとした 数字を元に議論しましょうという話です。数字の意味合いがよくわからなかったり,業績 を表す数字が適切ではなかったりすると,いくら議論しても始まらない。まず,議論のベ ースをはっきりさせるということが大事だと思います。
 それから,先ほど木村委員がおっしゃられました,地域の病院はどういう役割を果たす べきかということ,その議論が一番大事だと思います。そこからスタートしないで,市の 予算だとかいう議論をいくら積み重ねても意味が無い。そういう意味では,新ガイドライ ンが新しいスタートの役に立つのであれば,大いに利用したい。我々が何を成すべきか, 金目の話ではないところから,大いに議論していきたいと思います。そういうところでこ の委員会を活用していただけたらよいのではないかと思います。2~3年の赤字黒字は私に とってはどうでもいいことです。800人から1,000人規模の企業が1年で変わるわけがあり ません。それには周到に準備をした計画が必要ですから,まず,今回は新ガイドラインで しっかりしたスタートをきれるのではないかと思います。
 最後に,木村委員からお話しがありましたコンサル会社の分析資料など,そういったも のを,この委員会でどんどん数字を出して議論すればいいと思います。はっきり申し上げ て,私はこの委員会に出て,残念ながら役に立ったという実感を持てないでいます。毎度 同じような数字で,経過報告があって,それで改革が本当に進むのかなと思います。その くらいであれば,各回ごとにテーマを定めて,コンサルの結果や診療科別の比率など,そ ういったターゲットを重視した委員会をやりませんか。議論の場に持ち出されるだけでも, 私は有意義だし前進だと思います。委員会のあり方を変えましょう。

■岩田委員長
 ありがとうございます。その件については,昨日も木村委員と電話で話をしました。我々 の委員会に提示されるものは,すべて固まったものが報告され,アリバイづくりではない か,というような話です。少なくとも何年か前までには,予算設定の時に会議があり,も うちょっとやわらかい時に意見が言えました。ところが,いつの間にか,最後の報告が出 されて,それで承認してほしいような会議になってしまいました。これに対して前の秋本 委員も不満を持っていました。鎌田委員がおっしゃったことも私も思っています。やはり, これだけの面子を揃えて,時間を使わせるのであれば,むしろ,活動の前のところで言わ せてもらうほうが,よっぽどいいのではないかと思います。伊藤委員いかがですか。

■伊藤委員
 まったくそれは理にかなった当然の話だと思います。どこまで踏み込んでいけるか,そ こは変わる余地はあると思います。鎌田委員や委員長のお話は,私も一民間の経営人です ので,身につまされる頭の痛い思いで聞いていますが,我々でさえ医療というのは思い切っ てやれないところがあります。まして公立病院,市民のためという十字架を背負った病院 ですから,不採算だからと切り捨てるわけにはなおさらいかない。その苦汁の中でいろい ろやられるわけですから,逆に言えば,こういう委員会で言われたからということを理由 にするとか,この委員会をやりやすいように活用していただければいいと思います。

■岩田委員長
 はい。この件は別に時間を取ってやらないと,延々と続きそうですのでここまでにした いと思います。
 先ほども申し上げましたように,アクションプランはぜひ作っていただきたい。今の状 況をどういうアクションで直していくのかということだけは,大至急作っていただいて, 何らかの機会に我々に開示していただきたいと思います。
 あと何かございますか。熊谷委員お願いいたします。

■熊谷委員
 みなさんおっしゃられていることは,もっともなことで,私は委員になってまだ1年く らいですが,出されたものをどうでしょうかということについて,違和感を持っていまし た。出されたことをいい悪いと言ってもしょうがないことです。ここで,3病院の中でこう いうことで困っています,というような,何かいいアイディアはありませんかくらいの方 が,ざっくばらんにお話しできていいのかなと,そのように希望します。

■岩田委員長
 ぜひ,事務局のほうもご検討ください。我々はずっとこう思っておりました。我々をう まく使っていただけたらと思います。この件につきましてはいろいろ宿題が残りましたが, 次の議題に移りたいと思います。


□資料に基づいて田中課長説明
 ・新公立病院改革ガイドライン等


■岩田委員長
 確認したいことがあります。現状は道の作業待ちということですか。

■木村委員
 北海道がやることは,基本的に北海道全体でベッドがいくつですとか,そういう話です。 北海道での検討と,それぞれの二次医療圏での検討を,並行してやってほしいということ です。もう始まっているところもありますが,この地域はほとんど動いていません。一度, 医師会長が病院長を何人か集められましたが,オフィシャルな形ではまだです。
 先日の道の総合保健医療協議会地域医療専門協議会では,保健所に事務局をおいて,二 次医療圏単位で,ただし二次医療圏で収束しない問題があるので,三次医療圏でも検討す るということです。なかなか難しいことがありますが,北海道での協議と地元での協議は 並行して,北海道が何も言ってこなくても,今のところ,地域での必要なベッド数を,必 要に応じて脳疾患だとかの疾病別に落とし込んでいくことになると思われます。
 地域医療構想は,東京や札幌の人が考えています。例えば,1,000人に5人しかいない病 気だったら,2,000人の町には10人しかいない。その10人は,例えば道南であれば,みん な函館に来ればいいでしょとか,札幌に行けばいいでしょうと,数の上ではそうなってし まいます。だけど,本当にそれでいいのですかという問題があります。例えばこの地域の 農業です。日本の農業,食糧基地の北海道が,みんなが札幌に住んで,ヘリで通って,上 から種まいて,アメリカみたいな農業ができますかというと,そうはならないと思います。 その地域に住んで,一生懸命手を入れて,お米も美味しいのが取れるようになって,そう いうところにも病院がないと人が住めませんから。どこまでやるかは別ですが,最低限, 具合が悪くなっても病院にかかれない地域で,農業はできません。いわゆる,人口と年齢 構成で国や道が出してくる数字と,本当にこの地域に必要なものは何なのかというのは, やはり,ちゃんと議論しないと,あまりいいことにはならないと思います。そういう意味 を含めた議論が,地域でできればいいと思います。今までみたいに,うちの病院はここが 苦手だからこうしましょうということではなくて,病院同士,医師会も含めて,そういう 議論ができれば,今よりもっと進歩するのかなと思います。難しい話だと思いますが。

■岩田委員長
 最終的には病院の経営にまでかかってくる難しい話ですね。
 我々にも何らかの形で役を果たすということであれば,経過の説明をいただきたいと思 います。

■木村委員
 この地域医療構想の話は,ものすごくオープンにやろうという意思は,みなさん持って いるようです。こんなに大きな話は,オープンでなければ収まりつかないですよね。

■岩田委員長
 何かご意見ご質問はございますか。よろしいでしょうか。
 この話は,このようなことをやるよという話ですので,もう一歩進むには,我々がどう 対応すればよいかということを,教えていただければと思います。
 他に委員の方から連絡事項ございますか。事務局お願いいたします。

□本間庶務課長
 どうもありがとうございました。次回の委員会は,今回のご指摘を踏まえた開催と考え ております。改めて皆様にはご案内させていただきたいと思います。

□田中経理課長
 事務局からご報告が一点ございます。恵山地域の代表として,これまでこの委員会の委 員にご就任いただいておりました藤原委員から,先日,退任したいという申し出をいただ きました。藤原委員おかれましては,平成21年の当委員会発足時から委員にご就任いただ いておりました。当初は恵山の地域審議会の副会長ということで,またその後,地域審議 会の副会長を退任されたおりには,旧4町村の区域を所管エリアとする,函館東商工会の 副会長ということで,この間,地域の代表として委員を続けていただいたところでござい ます。このたび,5月に函館東商工会副会長も退任されたとのことで,地域の代表として, 別の方に参加していただきたい,との申し出をいただきました。事務局といたしましても, 地域における藤原委員のお立場も考慮いたしまして,誠に残念ながら,退任はいたしかた ないものと判断しております。今後,恵山地域審議会の会長や,函館東商工会の恵山選出 の理事らと相談させていただいた上で,後任の方を決めさせていただきたいと考えており ます。後任が決定次第,皆様に別途,ご報告させていただきたいと存じますので,よろし くお願い申し上げます。

■岩田委員長
 藤原委員から退任にあたりましてひと言お願いいたします。

■藤原委員
 長い間,皆様方からは本当に貴重なご意見をお聞きしました。岩田先生からは経営の在 り方など,厳しい意見を聞きました。本当に長い間お世話になりましたこと,お礼を申し 上げます。
 新たに選出されます委員がこちらの方に出席されますので,よろしくお願い申し上げま す。本当にありがとうございました。

■岩田委員長
 ご協力どうもありがざいました。
 それではこれで本日の委員会を終了いたします。ありがとうございました。

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