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平成28年度 第1回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要


■日時:平成28年6月7日(火) 18:30~19:50
■場所:市立函館病院 2階講堂
■出席者:岩田委員長,伊藤委員,鎌田委員,斉藤委員,熊谷委員
吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,藤田委員
■事務局:秋元次長,本間庶務課長,田中経理課長,野呂医事課長,
大島医療連携課長,船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,
佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□秋元次長
 早速でございますが,ただいまより平成28年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
 お手元に委員名簿を配付しておりますが,東福委員に代わり,今回から委員に加わります斉藤委員から,一言ご挨拶をお願いします。

■斉藤委員
 ただいまご紹介いただきました斉藤です。急遽選任されましたので,どのような質疑がなされているか,今日はじっくり聞かせていただきたいと,そのように思いますので,よ
ろしくお願いいたします。

□秋元次長
 ありがとうございました。
 それでは,議事に入らせていただきます。岩田委員長,議事の進行をよろしくお願いいたします。


2,議 事

■岩田委員長
 お忙しいところありがとうございます。本年度の委員会を開催させていただきます。
 本日は議題が2つございまして,逐次事務局から説明を受けた上で,皆さん方の意見を伺わせていただきたいと考えております。
 では議題に沿いまして,最初に函館市病院事業経営改革評価委員会設置要綱について,事務局から説明をお願いいたします。

□資料に基づいて田中経理課長説明
 ・函館市病院事業経営改革評価委員会設置要綱

■岩田委員長
 本件について委員の方からご異議ございますか。よろしくお願いできますか。いや私は,という方がおられなければ,これで進めさせていただきますので,ご協力の程よろしくお
願いいたします。
 それでは議題の2といたしまして,平成27年度函館市病院事業の経営実績について,事務局からお願いします。

□資料に基づいて田中経理課長説明
 ・平成27年度函館市病院事業の経営実績

■岩田委員長
 はい。今の説明で何かご質問ありますか。

■熊谷委員
 1ページの函館病院の説明で,ドクターヘリの分が計上されておりますが,収入と支出の700万円の差については,函病が負担する人件費ということでした。本来であれば100%市
の方から補助を受けた方が良いのではないかという思いがあるのですが,その辺はどうでしょうか。

■藤田委員
 ドクターヘリ運航開始の際に,職員2名用意するうちの1名分は市の一般会計で,残りの1名分を病院で持つということでのスタートだったものです。

■熊谷委員
 1人分ですか。そうですか。そういうことで理解はいたしますけれども,1人分といっても700万円不足しているわけですよね。病院にしわを寄せるのではなく,基本的には行政が
負担すべきものという思いがあるのですが,どうでしょうか。

■岩田委員長
 同じことを私も聞こうと思っていました。700万円は営業努力の問題ではなく構造的なものですよね。委託される側としては持ち出しですから,どういう初期の取り決めだったの
でしょうか。

■伊藤委員
 やりたくなかったら辞めてもいいですよね。変な言い方ですが。

■木村委員
 当院が手を挙げないことが許されるような状況ではなかった事は,伊藤委員もご存じだと思います。
 実際のところは,表に出ている収入支出がドクヘリの運用全てではありません。例えば,ドクヘリを飛ばすために増やした医師・看護師などの医療スタッフの人件費は当院でみて
いるわけです。ドクヘリの患者さんがたくさん来れば,見合いで収入が増えるかもしれない。本当のところのプラスマイナスはわかりません。今のところ想定より患者さんが少な
いですから,実際はここに出ていないところで持ち出していると思いますが,ドクヘリの患者さんがどんどん増えることになれば,人件費より多い収入を得ることも可能と考えら
れます。ご指摘の点については,私は1人分ならいいと思っていました。厳密に言えば我々が持つものではないと思いますが,もっと大きな表に出ないものもあるので,やむを得ず
というところです。

■伊藤委員
 この地区は,管内病院の協力を得るなど他のところと色々違います。だから函病に投入している額が他のところより少ないです。

■熊谷委員
 木村委員のお話を聞きましたが,できればそういうことではなくて,ドクターヘリの会計を別にしたらどうなのかなと。

■木村委員
 詳細の説明が必要であれば事務方からさせますが,別立てになっています。別立てになっていますが,ドクターヘリの会計は出動してから病院に着くまでで,病院に着いてからはその病院の収入なり支出になるわけです。それはドクターヘリの予算には入れられない。そこでマンパワーなどをたくさん用意していても,患者さんが来なければ空振りになりますし,逆にたくさん来れば病院としては収益増になります。ヘリが待機して出動してそれぞれの病院に送るところまでについてはきっちりしています。その中で当院が一人分の700万円を負担しています。病院の立場では,たくさん患者が来れば700万円でもペイするわけですし,少なければ持ち出しというのはそうですが,ドクヘリの仕組みのなかでは独立した決算がなされています。

■熊谷委員
 そうすると医業収益に取り込まれていると理解しますが,ドクヘリの患者さんと一般の患者さんを区分けするのはなかなか難しいということなんでしょうか。

■木村委員
 ある程度はできますが,ドクヘリが無くても救急車で来られただろう患者さんも沢山います。ドクヘリの患者さんを受け入れたために,他の患者さんを受入れられないというケースも起こりえます。ドクヘリによって,収入・支出がどれだけ増えたか減ったかを正確に割り出すことは困難です。

■熊谷委員
 わかりました。

■岩田委員長
 他には何か。
 なければ各院長にお伺いしたいのですが,事務局からの報告について,背景も含めて一言ずつお願いします。2年続けてマイナスになっていますので,その理由などを。

■木村委員
 26,27年度と2年続けて大きな赤字だったということで,院長として本当に申し訳なく思っています。表面だけみると薬剤材料費が非常に高くなっていますが,薬剤材料費の増加は赤字には大きく関与はしていないと考えています。というのは,外来の材料比率が圧倒的に増えていて,外来の診療収入がこの3~4年で約10億円増えて,外来の薬剤材料費も約10億円増えています。薬剤材料費は増えていますが,その分診療収入が増えているわけです。
 26,27年度の赤字の要因はいくつかありますが,私が考えているのは,DPCのⅡ群からⅢ群が2億程度影響しているだろう,それから消費税増税による負担増も2億くらい,平均
在院日数は13.5日という目標を立てていたところ,13.2日とかなり縮まりました。ここで1.7億から2億くらい影響しているだろうと考えています。それから精神科病棟を閉じざるを得なかったということ等々で7~8億マイナスしていると判断しています。この分を,診療報酬体系の中で,急性期病院として収入を上げる,支出をコントロールする,の2つでカバーしようと計画していましたが,実現できなかったということだと考えています。
 入院件数は横ばいというか減っていません。平均在院日数を短縮できたのは良いことだと思いますが,入院を待っている患者さんの数も全然減っていません。当院の入院を待っている患者さんは,手術やカテ,内視鏡の治療など,急性期病院としての治療を待っている患者さんです。入院させて点滴させておけばいいという患者さんではないわけです。そうすると,入院の件数は,手術を1日何件できるとか,1日何件カテができるとか,その要素で決まってきます。ですから,この委員会でも前から申し上げていますが,外来の患者さんを減らして,看護師などの医療スタッフをそういうところにシフトして,治療がたくさんできる体制を作って,そこで収益を上げる,というのが急性期病院として今一番スタンダードなやり方だと考えています。そこをアップすることができなかったところが問題だと思っています。1日平均患者数の問題ではなく,入院件数の問題です。
 もう一つは,薬剤材料費以外の支出です。ざっと計算すると平成22年は100円の診療収入で薬剤材料におよそ38円使っても黒字でした。ところが去年は100円の収入で黒字を出
そうとすると,薬剤材料に31円ちょっとしか使えません。この差の6円分くらいが5年間で支出として構造的に増えた分です。この部分をどうやって減らすかというところが,上手く機能しなかった。私としては,入院件数,単価の問題は,自助努力で何とかできると思っています。ただ構造的な支出をどうやってコントロールするかということが,なかなか進んでいないのが現状と理解しています。

■岩田委員長
 ありがとうございます。それでは泉山委員。

■泉山委員
 恵山病院ですが,やはり人口が毎年100人ほど減っておりますので,外来患者さんは減っています。入院患者さんも地域の方は少し減っていますし,市内からの紹介患者さんも若干減っています。市内の患者さんから,恵山病院は遠いからということでお断りされたり,転院されてからも遠くて見舞いに行けないという声が聞こえますので,その対策として,職員が送迎できないか検討しているところです。
 収入のもう一つの柱である透析患者さんは,現在15名おります。入院透析の患者さんは減少傾向にあります。その代わり外来透析は少し増えているようです。患者さんからは,市内の透析施設では透析中にテレビが見られるが,恵山では見られないという声もあって,来る6月9日にテレビを入れてサービスを向上させることとしました。調査したところ,恵山地区の患者さんで市内の透析施設に通院されている方がまだ結構おられるようなので,そういう対策を取ってみたいと思っています。以上です。

■岩田委員長
 ありがとうございます。それでは加藤委員。

■加藤委員
 南茅部病院は,恵山と同じですけれども,だんだん人口減ということで,患者数も減少傾向です。うちの場合は,感染症,悪性腫瘍,検査入院が一番多いのですが,やはり季節的な変動で肺炎などの重症な患者さんが増えると入院が増えるという構図になっています。うちを選ばず,他の病院に行く患者さんがなるべく増えないようにと考え,地域の人達とのコミュニケーションをとりました。入院の回診が8時からで,外来が9時からなのですが,重症患者がいると回診が遅くなり,外来開始が遅れるというクレームがありましたので,今は入院を手早く切り上げて,9時前後には外来を始められるように対策を取っております。
 札医の第一内科からの派遣で私ともう1人の若い先生,それから第一外科から1人の3人体制でやっていますが,第一内科の教授が替わり,それを機会に以前から要望していた若い先生の交代が行われましたので,外来が少し増えるのではないかと期待しております。以上です。

■岩田委員長
 はい,どうもありがとうございます。
 私も事前に資料をいただいて読んでいましたが,各病院とも特に大きな瑕疵があったわけではない。けれども2年続けて赤字になっている,という状況で,構造的なもので定着しつつある気がします。考え方として,日々の努力は疑ってはいませんが,それを超える何か,観点を変えることが必要な時期に来ていると思いますが,それに関する各院長のご意見はございますか。

■木村委員
 先程もちょっとふれましたが,診療収入を得るという部分は自分たちの努力でできると思っています。薬剤材料というのは診療と直結しますから,そこも現場だと思いますが,それ以外の支出については,私は外部の風を入れるしかないだろうと考えています。

■岩田委員長
 風というのはどういうことですか。

■木村委員
 外部から人を持ってくるとかです。例えば,買い物屋さん,しっかりした買い物ができる人,それを考えないといけない状況になっている。現場で努力できるのは,診療収入を
増やすことと,薬剤材料の適切な使用で,そこ以外の構造を見直す必要があると思います。5年間院長をやらせていただいて,外部からの強制的な力を持った意見が必要だと今考えて
います。

■岩田委員長
 泉山委員,加藤委員はどうですか。

■泉山委員
 アイディアがなかなか無く,難しいと感じています。

■加藤委員
 私も恵山と同じような状況です。構造的に,入院が満床になっても黒字になりません。なるべく赤字を減らそうということで,先程も言いましたが,私は地域に32年いて,昔は
座談会とかやっていました。それをまた復活して,患者さんの普段の希望とかをもう一度取りまとめて,病院全体の改善につなげていきたいと思っています。

■岩田委員長
 特にお二人の先生の担当領域は人口がどんどん減っていくということで,構造的なところをどうするかということですよね。そのあたりはちょっと考えていただきたいと思いま
す。
 では他の委員の方からのご意見をお願いします。

■鎌田委員
 ちょっと切り口が変わりますが,木村院長就任されてからの,函病のドクターサイドの努力が見受けられるので,本当に敬服しています。一方で事務局の方も,大変な財務内容ですから,色々とご苦労があるだろうと見受けました。その中で,ドクターサイドと事務局がもっと歩調を一致させて行く姿勢があっても良いと思っています。
 今日提出された資料の,最後のページをご覧ください。表の中に累積資金過不足額というものがあります。27年度の実績が19億となっており,この数字を売上げで割った比率がだいたい11%です。問題は,制度上この比率が10%を超えると借入ができないということです。これは当委員会でも何回か話題になりましたが,借入ができなくなるということは,実は市にとってボディブローになります。なぜかというと,通常借入ができなければリースで設備投資をするわけですが,自治体病院の場合,借入の返済に対して半分は市から繰
入金をもらえます。かつ,その繰入金の約半分が交付税として国から出ます。ですから設備投資額のおおむね1/4が国からもらえるかどうか,という話です。函館市が公立病院を運営していくときに,国から金をもらうことが良いか悪いかという議論は別にして,もらえる額にダイレクトに響いてくるということを,皆さんに意識してもらい,今後の計画を進めていただきたいと思います。
 19億という累積資金不足は何でできているかということを皆さんにご理解いただきたいのですが,最後のページの累積資金過不足額の一つ上に,単年度資金過不足額というものがあります。27年度の10億という数字は,資料の4ページをご覧ください。下から2段目の資本的収支差引の△747という数字と,その4つ上の段の小計の△341という数字を足したものです。小計の△341という数字は,民間企業では償却引当前利益に相当するものです。資本的収支差引の△747という数字は,大雑把に言うと,借金の返済と市からもらった金の差し引きです。ということは,この△747という数字は,当面動きません。借入の返済額はもう決まっていますから。市からもらえる額もほぼ変わらないでしょう。そうすると,小計の△341という数字をプラスに持っていかないと,10億という数字は改善できません。
 比率を10%以下にするためにはプラス2億必要ですから,小計の△341をプラス7とかにしなければいけません。プラス7でとんとんです。償却引当前利益をどこまで大きくできる
か,ということですが,プラス7は到底無理だという話が当然出ると思います。しかし今日を機会にその数字を目安にして,今後議論を進めていくべきだと思います。

■岩田委員長
 伊藤委員はどうですか。経営者として。

■伊藤委員
 厳しい話をするのは申し訳ないですが,函病でいうと,木村委員のお話はそのとおりだろうと思います。問題はやはりベッド稼働率にあって,入院患者がいないならしょうがないですが,それだけ待っているのに,なぜ入れないのか,ということです。手術ができないならベッドがこれだけあってもしょうがないですよね。
 13日という平均在院日数で7万という単価は,妥当といえば妥当で,まだ上がるといえば上がると思います。平均在院日数が10日というところもあるけれども,14日を切ってまで焦る必要があるのかという問題があります。というのは,患者の声として,もう少し居させて欲しいのに帰らされた,というものがあるからです。またこの日数はたぶん函館で一番でしょう。
 実際に手術をこなすにも麻酔の医者がいないとか,昔は1人の医者が3~4人の患者を掛け持ちでやった時代がありましたが,今は制度上出来なくなっており,昔は必要ではなかった人件費が増えています。そうなると回転率を高める必要がありますが,患者さんがいないならしょうがない。うちも稼働率は90%を維持しないともちません。数年前より状況が悪くなっているのは事実なので,それを改善するのはもの凄く難しい。たぶん安い人間を入れるしかないのではないでしょうか。先程木村委員が仰ったように,外来をセーブすることによって,そこの人員を割き,入院待ちをしている人のベッド稼働を上げられれば,効率の良い,患者にも感謝される医療になって,10億くらいプラスにはなるだろうと思います。
 そこに関わって,今年から500床以上の病院に紹介状なしで受診する場合,5000円以上とるという話になっていたと思いますが,ここはいくらになりましたか。

■木村委員
 今回の対象は地域医療支援病院だけで,この地域で地域医療支援病院になっているのは医師会病院だけです。当院が地域医療支援病院をもし取ればやらなければなりません。
 最初は地域医療支援病院でなくても500床以上全部とされていましたが,半年以上前に地域医療支援病院という条件がつきました。

■伊藤委員
 いずれにせよベッド稼働率を上げなければならない。もし構造改革をおやりになるのでしたら,平日の手術時間を延ばすなどの多少の操作で稼働日数を増やす,それから入院待ちの患者をできるだけ早く入れる,この二つをやることだと思います。無理を言って申し訳ないですが。

■木村委員
 良い言い方ではないと思いますが,みんなが少し無理して,無茶にならない範囲で頑張ってもらわなければ,と思っています。
 もう少し在院日数をのばせばという考え方は,やれば収入が増えることはわかっていますが,7:1の患者重症度の問題が出て来ます。

■伊藤委員
 ここは救急車が多いので,それは気にしなくてもいいのではないですか。

■木村委員
 それでも試算するとぎりぎりの月がたまにあります。手術の多い月少ない月,救急搬送の多い月少ない月があるので,もしその基準を割って,7:1が算定できなくなれば,より根本的な問題になります。そういうことでやはり簡単に在院日数を少しのばしましょうとは言えません。

■伊藤委員
 他の委員の方には専門的な話でご理解しにくいと思いますが,色々な絡みや制度があり,その中でいかに有効に収益を上げるかということは,本当に大変なんですよ。ですから総
論的に簡単にいうとベッド稼働率を上げるということですが,中には難しいことがたくさんあります。
 それから恵山と南茅部の病院ですが,もの凄い厳しい言い方をすれば,地域の必要度がこれだけであれば,ベッドを削減すべきです。削減すれば交付税も変わってくるので,なかなか地方の国保病院はベッドを減らせないですが。思い切ってベッドを減らして,それに見合う人員配置にするしかないと思います。

■岩田委員長
 他に何かありますか。手短にお願いします。

■鎌田委員
 木村委員がお話しされた恒常的な支出ですが,それについてはドクターサイドでなかなか手が出せない,ということだと理解しました。病院全体としてみれば,市の協力を得れば可能ではないかと思う部分があります。札幌の人材派遣会社の方とお話ししたら,全道の中で函病は外部委託の比率が低い方ですと言われました。それが嘘か本当かはわかりませんが,残念ながら地方都市では公務員より民間の給料が安いですから,そういった工夫で支出を下げる方法もあるのではないでしょうか。先程の購買部隊のお話も,導入して安くできるのなら構わないと思います。
 それから先程私が申し上げたようなお話を,レジュメにして皆さんにお示ししたいと思います。口頭で聞いただけではわかりませんから。事務局には原稿を渡してありますので。

■岩田委員長
 今日は皆さんから色々な意見,キーワードが出ております。それは資料や質疑の中で,その都度答えていただいておりますが,企業では必ず戦略企画的なものがあって,そのワードをどういうふうに活かすのか,体系的な企画としてあげて,機を待たずに随時やっていく,ということがあるわけです。ところが病院の経営について聞かせていただくと,金額的なものや患者さんが来たとか来ないとかいう話はありますが,病院の根本的なところをどういうふうに戦略的に取り上げていくか,ここをこうするためには,ここがこうなればいいじゃないかというような,企画みたいなものが聞こえてこない気がします。これだけの大きな組織で,しかも専門領域の違う方が集まっているところなので,しっかりした企画にしないと,極限まで切り詰めたところでのプラスだマイナスだという話になると,非常に難しくなっていると思います。各院長やトップの頭の中にはあって指示は出るのでしょうが,それがひょっとしたら共有化されていないのではないか,ということです。
 今回任期が5年延びるというお話があって,真っ先に感じたのは,売上げを上げることは今までどおりやっていただきたいのですが,それを円滑に動かすような企画機能,推進機能を持つグループが必要な気がしてしょうがありません。皆さん各々の問題点は理解されているけれども,体系的に協力されていない,そういう感じがします。今年の戦略はこれで行くということを成文化して,主だった方はそれを持って協力するというふうに,運営の仕方も共有することが必要ではないかと思いました。

■木村委員
 一番難しいのは共有の方法論と考えます。多すぎるくらいの委員会があって,病院の中心的メンバーはかなりの委員会に重複して参加しています。ご指摘の点に切り込むものをどういう形で作るのかということを考えなければいけないと思います。

■岩田委員長
 数を増やせといっているわけではありません。メリハリで,ここが一番というところに対して,責任と権限を持った方に,かなり走り回れるようなムードを作って走ってもらう,ということの方が良いんじゃないかという感じがします。

■鎌田委員
 はなはだ下品な言い方をすると,ベッドの稼働率を上げることが課題でしょう。そこで7:1の話が出てくるということは,人員の労働効率の問題ではないでしょうか。

■木村委員
 そのとおりです。マンパワーに関してはここ5~6年で他の施設に比べて思い切り増やしています。数に見合うクオリティかどうかについては,上がった部分とまだまだという部分があります。医師に関しては募集してもすぐに増やせるものではないことがわかっているので,医師の数は減らさない中で,他の職種をクオリティの高い形にして効率よくやるという,そういう方向性しか当面はないと思います。

■岩田委員長
 過去に私は1兆数千億売り上げていた企業にいて,1円2円のコストダウンの話をするわけです。その際に何をやったかというと,ある目的に対してかなり下のレベルにまで責任と権限を与えてやらせます。その成果については良いも悪いもちゃんと評価する。そうやってモチベーションを上げながら積み上げていくしかない。それは時間がかかりますが,ハイレベルなところで決めて「やれ」と言うと,上手く回っている時はいいですが,回らなくなってきた時に組織というのは止まりますから。そういうマネジメントにも病院でトライされてみてはどうかということです。
 色々なことをおやりになって行き着くところまで来ていると思いますので,やり方を変えてとか,正攻法ではない,違う狙いもやってみる時期に来ているのではないかと思います。
 他に何かありますか。

■加藤委員
 ちょっといいですか。伊藤委員から病床に係る交付税のお話が出ましたが,今は許可病床数ではなくて,7~6月までの1年間の,マックスの利用病床数で出るようになっています。ですからベッド数にはこだわらなくてもいいんです。

■伊藤委員
 それでは削減してそれに見合った人員にすることも可能ですね。地域にあったベッド数でやるのがいいですね。

■岩田委員長
 そうですね。

■加藤委員
 はい。

■吉川委員
 南茅部と恵山に関しましては,地域の人と話し合わなければなりませんけれども,ある程度地域医療構想に則った形での病床削減を考えています。ただ地域住民に納得していただかなくてはならないので,丁寧に説明して,ということになります。
 函病に関しては岩田委員長ともお話ししましたが,生産性の向上策というか,そのための投資,人員配置を十分にやってきています。これに関しては管理者側から与えていくという形が取れますが,収益を増大させるために入院件数を増やすということは,現場の人間の動きがないとダメです。現場の人間を動かすための戦略を考えていかないとうまくいかないだろうと私は思っています。このことを院長とも相談しながら,ボトムアップでできるのか,現場の意見を聞いていくようなスタイルをとれるのか,ということが大切だと思います。
 ドクヘリの話も出ましたが,これに関しては収益の問題ではなくて,病院のステータスの向上ということがありますので,短期的な患者の増には結びつかないかもしれませんが,長期的には救命病棟を持っている病院として,プラスになるだろうというのが,経営者側の見方です。

■岩田委員長
 では今日はこのくらいで。事務局の方にお返しします。

□秋元次長
 どうもありがとうございました。次回の委員会は28年度の第一四半期の実績を議題として,8月の開催を予定しております。皆様には改めてご案内させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして,本日の委員会を終了いたします。ありがとうございました。

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