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平成30年度 第1回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成30年6月18日(月) 17:00~18:30
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
     氏家委員,川﨑委員,加藤委員,藤田委員
■オブザーバー:市立函館病院 森下副院長,佐藤副院長,成瀬副院長
        益子看護局長
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,本間庶務課長,
     熊木経理課長,野呂医事課長,崎野医療連携課長,
     船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,
     佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
それでは定刻となりましたので,ただ今より平成30年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
なお,木村委員は本日所用により欠席となっております。
それでは最初に,委員の交代がありましたのでお知らせいたします。お手元に委員名簿を配布しておりますが,今回の会議から吉川委員に代わり氏家委員が,泉山委員に代わり川﨑委員が加わります。
まずは氏家委員から一言ごあいさつをお願いいたします。

■氏家委員
4月から函館市病院局長に就任いたしました氏家でございます。病院事業経営改革評価委員会に色々とお世話になりますが,よろしくお願いいたします。

□熊木経理課長
続きまして,川﨑委員から一言ご挨拶をお願いいたします。

■川﨑委員
4月から泉山前院長から交代いたしまして,恵山病院の院長を拝命しました川﨑です。恵山病院も大変厳しい状況にありますが,色々ご指導を賜りながら運営してまいりたいと思います。泉山院長が定年退職されまして,医師が4名から3名に減りました。看護師も減っております。また,赤字経営続きでお金もないという事で,人も居なくなりお金もないという中で,今の医療機能をどのように維持していくのか,地域の医療事情を,あるいは地域のご意見を伺いながら運営にあたってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

□熊木経理課長
ありがとうございました。
なお,木村委員欠席のため,森下副院長がその代理として出席しております。また,前回の委員会で鎌田委員長から提案がありましたとおり,今回から市立函館病院の副院長と看護局長もオブザーバーとして出席しております。
森下副院長から順に一言ご挨拶をお願いいたします。

■森下副院長
森下でございます。微力でありますけども,経営改善のために全力を尽くしていきたいという所存でございます。

■佐藤副院長
元は整形外科の科長でしたが,4月から副院長になりました佐藤です。まだ右も左もはっきりわかりませんけども,やれることをやり頑張りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

■成瀬副院長
4月から副院長を拝命しております消化器内科の成瀬です。色々と勉強させていただきながらしっかりと病院の経営に関して尽力出来るように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

■益子看護局長
看護局長の益子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。看護師としましても,経営に常に参画していけるような体制や指導を行っていこうと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

□熊木経理課長
ありがとうございました。
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお願いします。

2,議 事

■鎌田委員長
まずは本日の資料について,事務局より説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・平成29年度函館市病院事業の経営実績について

■鎌田委員長
ありがとうございました。
では,氏家委員お願いいたします。

■氏家委員
28年度と比べると改善しているという事ですが,まだまだ足りないと考えております。その中でも,患者を増やすことが目標としてあるわけですが,かなり難しい状況です。函館市自体,非常に病院が多い地域です。患者数はそれ程増えないのではないかという気はしています。
その中で何が重要になってくるかというと,一つは,薬剤と診療材料費の節約というところです。12ページの下にあるように,民間病院は27.9%ですけども,函病は35.0%です。民間はそのうち薬品費が15.6%%ですが,函病は21.5%です。つまりDPCであれば,出来るだけ少ない薬品で治療する方が病院としては儲かるわけですが,函病の場合は手厚く薬を出しているので,患者にとってはいいのかもしれませんけども,もっともっと少ない薬品で治療効果を出せないかということが,この数値からは見えるかもしれません。1%で数億違ってきますので,そのような事を前向きに考えていければと思っております。
函病自体は色々と歴史があって,医師や看護師が非常に優れております。従来から手厚い治療を行ってきたという,歴史的なものがあるのかもしれないと考えられますので,そこをもう一度見直して,改善に向けていきたいと考えております。
あとは,危機的状況になっているという事を,職員全員が認識していたかというと,そうでもなかったかもしれない。今回も副院長、看護局長に参加していただいておりますけれども,病院の中の会議におきましても,多くの医師またコメディカルを集めて,経営に注目してもらうという事で,日常的な会議の中で,経営状況を認識してもらおうということを考えております。29年度は非常に頑張って,コストカット委員会などでコストカットにあたってまいりましたけれども,30年度につきましては,新たな改革プランに進んでいきたいと思っております。
また,今回の賞与カットにつきましては,職員,組合を含めて,このような苦渋の決断をしたという自治体病院は他にありません。職員一同腹をくくって改革をしようとしております。以上です。

■鎌田委員長
伊藤委員、いかがでしょうか。

■伊藤委員
前年度より営業成績が良くなっているので努力しているのはわかります。私がいつも言っていることですが,この地域の基幹病院,3次病院としての役割を果たしながら,経営をしてくのは非常に大変なことだと思います。まだまだ効率化を図るとか、材料費を見直せば数億変わるという話がありましたけれども,それが本当にうまく行くかどうかは中々難しい話ではあります。最近の医療はモノにお金がたくさんかかる。一日あたり入院単価は高くなりますが、かなりの額で材料費を引き上げて,ひところの医療とは様変わりしていて,効率よく利益を上げることが難しくなってきている。
ただ,その中で効率のいい仕事の仕方というのがあるので,そこら辺でもう少し徹底すること。
それと,いつも話題になるのですが、どうして函病は接遇が悪いと文句を言われるのか。私は悪くないように感じますが,そこが気になるところです。その辺に改善の余地があって、もう少し来やすい病院を作っていければと思っております。

■鎌田委員長
副院長先生いかがですか。

■成瀬副院長
ただ今ご指摘いただきましたように,接遇等に関しましても接遇改善委員会等にて更にやって行く必要があると思います。地域との連携を深めるために不可欠だと思いますので,一層努力させていただきたいと思います。

■佐藤副院長
成瀬先生と同じ意見ですが,なるべく地域の皆さんが来やすい病院を心がけるという事を再認識していこうと思います。

■鎌田委員長
パブリックセクタ―の最大の欠点は,うまくいきましたと言わなきゃいけないというところです。うまくいきました,とだけ言っていると,悪くなる。民間企業を見てみると分かると思いますが。

■森下副院長
私が考えているのは,先ほど氏家局長が強調していましたけれども,現在このような状況に追い込まれているという事を,より多くの職員に認識して頂かないといけないということです。
また,私は地域医療支援病院を取得するときのリーダーとしてやらせていただきましたが,地域の開業の先生を回っていると,外来受診のハードルが非常に高いと言われています。連携を通す時に,書く項目があまりにも多すぎるということを言われました。こういうところはより簡便にしていく必要があると考えています。ただ,平成30年度になって6月になりましたけれども,紹介率も逆紹介も上がっています。地域の中に溶け込めつつあるのかなと実感しております。
非常に難しいのですけれども,コストカットの部分にいかざるを得ない。先ほど伊藤委員の方からお話がありましたけれども,最近は低侵襲化と言って,患者さんの負担にならない医療をすればするほどお金がかかってくる。私の実感として,函館市は非常に高齢化しているので,どうしても低侵襲で治療していく患者さんの比率が増えていく。そのため,検査内容ですとか,使っている薬剤をいきなり5~6%カットするのは非常に難しいと思いますが,1~2%下げるのは実感として可能なのではないかと思っておりますので,そこを目指していきたいと考えています。

■鎌田委員長
数か月間や半年で,危機感を皆さんで持つと同時に,小さな成果でもこんな成果が上がったというものが出てくれば,前進する力になると思います。
材料費は函病が飛び跳ねた数字になっていますが,函病にとって飛び跳ねた数字というのは,1日入院単価7万,おそらく公立病院としては全国最高の病院,人によっては大学病院並じゃないかという方もいらっしゃるだろうと思います。医師一人一日あたりの売り上げ,33万くらい。そこら辺が,材料費が高いのとセットになっているのかなと。一概に言えないことかもしれないので分析が必要ですけれども。それにしても,売上が大きくても材料比率が高いのではまずい。

■斉藤委員
職員の意識改革をしていくことが第一ではないのかなと思いますので,氏家委員には連携も含めた中で,運営を進めて行って欲しいなと考えています。

■氏家委員
ありがとうございます。私自身も経営の前に,働き方というかチームワークというか,連携が大事だと考えております。函病の中での医師やコメディカルとの連携,3病院の連携というのが大きく問題になってくると思います。個々の病院であれば,個々のそれぞれの特徴のある病院ですけども,3つが一緒になると,これは非常に面白く,3つの連携ができるということで,それが今後函館の財産になるのではないか。
外から来ますと,やっぱり市内の函館と,海が非常にきれいな恵山,山も景色も温泉もある南茅部,この3つが非常に魅力あるまちに思えますので,それらを連携する形にいつかできればいいなと思っております。

■熊谷委員
先ほど森下副院長がおっしゃいました,これから日本全国そうですけれども,高齢化がだんだん進んでくる中で,函館市の病院として,自治体病院としてどうすべきか,というのが一番難しいところです。地域医療構想の中でベッドの削減が叫ばれていますけども,ベッドは削減する,けれども高齢化によって入院者が増えていく,外来も勿論増えていくのではないのかなと思います。人口は減ってもそれなりのものがあると思いますが,そんな時に,診療単価を下げて尚且つベッド数も少なくなっていく,じゃあどういう風にそういうニーズに病院側として対応していくのかというのが,一番悩めるところだと思います。病院側としてどのように思っているのでしょうか。

■氏家委員
私はまだ2カ月半しか経っていないのでピントがずれているかもしれませんが,もしここが非常に医療過疎の所であれば,自治体病院が急性期から療養,介護までやっていかなくてはならないということになります。しかし,函館は札幌市と同じくらい医療資源があります。全国でも非常に多くの医療資源がある地域だと思います。自治体病院としての函病は何をするのか,恵山病院,南茅部病院としては何をするのかというのが変わってくると思います。それは自治体病院だけで考えるものではなくて,地域の医療機関と連携しながら,函館市また南渡島においてどのような医療体制があれば安心なのかということを作って行かなくてはならない。その中で自治体病院は大きな赤字を出さない,信頼がある,そして最後の砦となるような病院を作るというのが目標になるのではないのかなと思っています。
ただ,これをどうやっていくかというと,やはり人口は減ってきますから,函館市全体のベッド数というのはおそらく急性期は減っていくだろう。その一方である期間の間は介護だとか,そういうベッドは増えてという形になっていくのでは。その後また全体の数が減ってきますので,その時に医療をどうしていくのかというのがあると思います。
とりあえずは今,函病には許可病床数が668床ありますが,運用は476床で,200床ほど使っていない。その中での働き方をどうしていくかという,効率化も大事になってくるのかなと思っております。

■熊谷委員
今の医療構想の中で,ベッド数は減らしていかなくてはならない,そのような全体の中で,函病として現在は668床あるけども470床程に減らしている。ですが91%の稼働率になっています。これ以上はちょっと無理かなという思いをしているのかどうか,道南圏全体の中で,やはり自治体病院なり中核病院の責任として,まだまだ減らしていかなきゃない,そういう責任もあると考えておられるのでしょうか。

■鎌田委員長
病床数は減っていますが,この10年間を見てみると人件費は変わってない,経費も変わってない,ということはコストは下がってない。人員数もおそらく下がっていない。どういう病院を目指すのかという話と,表面上の数字の稼働率を上げたくて休床した,あるいはドクター達がこれ以上ベッドがあったら大変だから減らそうとなったのかわかりませんが,ベッド数減らすというのは,政策として,医療の方針としてベッド数を減らすということがあったわけではないのだろうと思います。ご心配のようなことにはならないとは思いますけれども。

■熊谷委員
過去の委員会でも出て,今氏家委員もおっしゃっていましたが,実際にはベッド数は668床あって,476床で稼働率は91%で,だけども職員はいる,これをいかにして削減していくか,首を切る訳にはいかないので。これが一番の問題ではないでしょうか。今すぐ結論は出ないでしょうけども,一番議論していくべきところではないのかなと思います。

■氏家委員
首を切る訳にはいかない。その人数の中でどういう収益を得られるのかというのを考えなくてはいけない。新たな収益というのはどこにあるのか,ということを考えることになります。

■森下副院長
今,氏家委員がおっしゃっていましたけれども,適材適所というか,配置されている人間の配置場所が本当に効率的に経済的にいっているのかということ,そこが一番問題です。労働力が必要な病棟だとかそれ程でもない外来などありますので,そこをうまく変えていければなということでいろいろ考えております。
それと,臨床の現場にいるものとして,うちの病院の担う役割はやはり救急がメイン。この道南地区はたらい回しということがありません。それは私たちが最終的に引き受けるという事で成り立たせてきたので,この機能を失ってはいけない。救急集中治療分野の第一人者の氏家委員が病院局長として来ていただいたことで,さらにパワーアップできるのではないかなと考えております。
もう一つは,道南地区は高齢化が進んでいるので,より低侵襲な,身体にやさしい治療というものをうちの病院は提供していければと。手前味噌ですけども,例えばカテーテルで弁膜症を治せる資格というのが,青森や秋田にはないのですが,道南の僕らの所にあるので,そういう特色を生かして,高齢の方でも入院日数が出来るだけ短く,すぐお家へ帰れるとそれほどベッド数も必要ないですし,そのような病院を目指していかなければならないと思っています。

■鎌田委員長
佐藤副院長,成瀬副院長,いかがですか。

■成瀬副院長
各診療科において,低侵襲治療のためのいろいろなトレーニングを含めて,大学と連携してやっています。今後,高齢者が非常に増えるということに関して,高齢者の方々をどのようにうまく受け入れて,お帰しするかということをもっと踏み込んで,地域で連携して模索しなければいけない状況にあると感じています。

■鎌田委員長
カテーテルを使うと材料費が高くなり,侵襲性は少ない。あまりコストばかりかかってもしょうがないから胸を開くなどというケースがありますか。

■成瀬副院長
リスクを前提に検討することはありますが,あくまでも安全にできるということを一番に考えております。

■鎌田委員長
もちろんです。コストが安ければいいと言っているわけではありません。

■佐藤副院長
私は整形外科医なので整形外科の事しかわかりませんが,例えば大腿骨の骨折の場合は2週間以内に転院するとインセンティブがある。しかし,フォローが出来ていないという事が全国的に問題になっていて,実際に高齢の方がどうなっているのかというのを見ていかなくてはいけない。
あとは低侵襲に関して,やっているつもりですけども,我々は手術をすることが多い。整形の場合は低侵襲でやるから早く帰れるというわけではなく,リハビリのやり方で大分違ってくると思います。

■森下副院長
先ほど氏家委員もおっしゃっていましたけれども,色んな分野で一流の腕を持っている医師がたくさんいます。あと一つ足りないのは,私たち内気なので外に対する発信が非常に弱かったなと。
また,氏家委員とよくお話しするのが,氏家委員が前任でいらっしゃった岡山大学では,月に1回くらいは新聞でこういうことをしているというアピールをしてきたそうです。うちの病院ではそういう事をこれまでやってこなかったので,定期的に良いと思うことはどんどん発信して,市民の皆様に知ってもらうという事はやっていきたいと考えています。

■氏家委員
函病しか出来ない医療というのは実は結構あります。婦人科領域のガンに対して腹腔鏡下で傍大動脈リンパ節摘出を含む手術をするというのはうちだけ。ただ,医業は宣伝が出来ないという部分もありますので,そこは口コミでしかないという形になっています。森下副院長達の大動脈弁をカテーテルで,開胸手術せずに治せるということもここでしかない。
私自身医療の改善の為には,個々の医療職がコスト意識を持てば絶対に良くなると思います。伊藤委員のようなコスト意識を職員が持っていれば,病院はあっという間に良くなるはずです。私自身は,上の数名で医療のこと,経営のことを話し合うのではなくて,出来るだけ広い人数で話し合って,それぞれが意識を持ってもらう事がいいのではないかと。コストカットしてくださいと言うより,自分たちが意識を持つことが大事じゃないか。私が来る前に,賞与のカットというのが決まっていて,そんなことをして病院が散り散りになってしまうのではないかという気がしたのですが,もの凄く大きなインパクトを職員に対して与えて,意識改革がなされたのではないか。森下副院長が言っている4,5月が,特に制度的にはまだ変えていませんが,今までにない収入状況であるというのが出ていますので,一番大事なのがそれぞれ職員の意識改革だと思います。
それともう一つが,働きやすいハラスメントの無い職場です。まだ函病は医師を上としたピラミッド的な職場です。今や,そういう職場というのは珍しくて,本来は輪になっているような,そうではない職場に変えていかないといけないと考えております。時間がかかるかもしれませんが,そういう意識を持っていくということが大事だろうと思っております。

■伊藤委員
氏家委員のようなコスト意識が大事なのは良く分かります。やはり我々市民の立場からすると市立病院というは最後の砦みたいなところが間違いなくあるので,この機能を維持しながら経営体質を改善するという,非常に難しいことをお願いしているわけなのですが,確かにこの数字を見ていると効果的に良い方に進んでいる気がするので,今後の1~2年に期待をもって見ていきたいと考えております。

■鎌田委員長
先ほど職員の皆さんの賞与カットの話がありましたが,私にとっては痛恨の極みです。これから再生しようという時に,賞与を下げることは無かったですから。無いところを無理してちょっとでも上げて,みんな頑張ろうかというのが当たり前です。ですが財政的なこともあり,そこからやってしまった。少しでも危機意識が一人一人に伝われば,3年後にみんなで大盤振る舞いしても良いし。そういうつもりで今は乗り切りましょうと申し上げるしかない。今日は看護局長はじめ副院長の先生方の皆さんがおられますので,改めて申し訳ないという気持ちと,なんとかこれから少しずつ上がって行けばと思っています。幸いにして,木村委員が頑張ってここ数年かけて少しずつでもジリジリ良くなってきている。危機意識を持つことが一番です。
事務局,20%を超えている自治体病院は全国でいくつありますか。

□事務局
現在は,九州の1病院です。何年か前には他にもあったのですが,今年度我々が知るところでは1病院のみです。

■鎌田委員長
どういう数字なのか根本の話を少し説明させてください。20%と言っていますが,20%の分母は医業収益です。分子は流動資産と流動負債の差ですが,そのうち問題なのが流動負債です。流動負債とは短期借入金と未払金です。函病の場合未払金は費用の1カ月分くらいが未払いで15億くらい。あと,長期借入金のうちの来年1年間で返す分,これが大体流動負債です。函病が20%とかいってしまうのは,分母の売上が小さいか,あるいは分子の流動負債が大きいかですが,明確に流動負債が大きい。
問題は年々キャッシュフローが赤であること。短期借入金が増えている。短期借入金が増えていくと20%から戻ってこないという話になってきます。確かに現場の先生方や看護師さんにとっては,過去の借入金というのをなんで押し付けるのかという話があると思います。しかし,年々のキャッシュフローをプラスに持っていくかマイナスを減らすか,それなら現場でもできる。長期借入金の返済は現場の能力は関係ないです。だけど経常利益の部分を何とか改善できれば,その分キャッシュフロー出来ると思います。そんな風に見ていただければ,20%を少しずつ良い方へ持っていければと思います。

■熊谷委員
私的な発想で大変申し訳ありませんが,いくらかずつでも回復の兆しが見えているのは大変うれしいことです。ただ私が思っているのは,市として,市長はどう考えているのかという疑問が残るわけです。
単純に赤字だから一般会計から補填しましょうでは,どこまでも続いて累積が増えていきます。そうであれば,市長が腹をくくって今の借金を市でもつ,病院局はゼロから出発してください,という要望が病院局や委員会の中から出てきたら,これは市の方で受けてくれるものなのでしょうか。

■鎌田委員長
過去の借金は市でもつと,病院は当年分の損益だけ。それはありだと思います。ただ市の財政がありますので。
ちなみに申し上げますと函館市の財政は大変です。これは医療の方々には関係の無い話ですが,自治体は地方交付税というものを国から貰う。政令指定都市と,中核市と,人口30万以上の都市で,人口一人当たりの地方交付税は函館市が断トツ多い。それだけ函館市は財政が苦しい。当年度だけ考えてくださいというのはきついと思います。やりようはあると思います。先ほど私は経常利益と申し上げましたが,経常利益の赤の方については病院が責任を取る。市から経常的な繰入金をこれだけ貰えれば,後は病院でなんとかするというコミットメントはありますね。一方で,過去の借入の返済である資本的収支は市で負担するというのはありうる話です。

■熊谷委員
いくら努力しても,明るさが見えてきても,依然として過去のものは減って行かない。その後に対しての不信感というのがあると思います。誰しも過去のものを今現在,自分がなぜ背負わないといけないのかというのが絶対あると思います。それであればチャラにして,ゼロからやりましょうと言うほうがスッキリしていいと思います。
その背景には,南茅部病院の建て替えがあります。このことについては南茅部地域の方たちも1日でも早くと望んでいるわけです。ただ,市の財政がそのような形にあるものですから,なかなかキツイ言葉では言っていない。ただ,ある程度の時期になるとやはり堪忍袋の緒が切れて,という形になるかも知れないという思いはあります。市の財政として理解はするけども,やっぱり必要ですねと市の方で答えを出したわけですから。じゃあ1日でも早くとお願いするのが地域としての気持ちだと思います。そういうこともあって,できるものであれば市と掛け合ってそういう方向でどうでしょうか。

■鎌田委員長
ありがとうございます。熊谷委員の熱意は大変ひしひしと伝わってきますが,病院を建て替えるかどうかという話になれば,これは政治案件,議会案件だと思います。当委員会が経営の善し悪しを議論するうえで,重い,または枠組みが違うのかもしれません。
ただ,函病の利益の幅は大きいので,恵山や南茅部の病院1つや2つはもてる。そのぐらい頑張りましょうと。函病が1割利益を直したら,南茅部の赤を埋められるかも。未来大学は,総予算が20億くらいです。下手したら病院の赤字で大学がひとつ出来てしまう。市民のニーズと要望は函病さんの方が100倍も大きいだろうというのはもちろんあります。特に数字が表になかなか出てこないので,どうなのかと判断しづらい部分があると思いますが,一生懸命数字を探してみるとか,工夫して資料を作ればいいと思います。

■川﨑委員
先ほど函病の休床について話題が出ていました。たまに函病に患者さんをお願いしていますが,何カ月も待たされるという経験はありません。しかし急性期病院の先生方を見ていますと,毎日のように入院診療計画書を書いて,退院診療計画書を書いて,凄い勢いで患者さんを回して在院日数を短縮させていると思います。そうすると,大事なのは急性期医療が終わった後に,在宅施設あるいは在宅に持っていくというところで,急性期がある程度役割を果たすにしても,そこは療養病床ですとか,回復期リハ病床だとかそういった役割,さらに言えば,在宅施設例えば特養ですとか,小規模介護施設やグループホームのような,そういったところが,必要になっていくと思います。その辺で,医療介護,急性期病院,私たちのような恵山病院みたいな所と在宅施設,これをうまく連携させていくという事が,ベッドを効率的に動かしていくという事の上で,一番重要な事かと思っています。
我々の所では,在宅施設あるいは特養に,嘱託医や訪問診療などを行っていますけれども,そういうところでうまく地域と連携していくというのが,急性期病院のベッドを効率的に利用するためにも重要な事だろうと考えております。

■鎌田委員長
では,氏家委員いかがでしょうか。

■氏家委員
色々なご意見ありがとうございました。我々にとって非常にありがたい意見でありましたし,また,今後の南茅部病院を考えるうえでは貴重な意見だったと思います。それから今,川﨑委員がおっしゃったように,せっかく3つの病院があって,それぞれの特徴がありますので,一つの病院でそれをやることは無理だと思いますが,3つの病院が連携することによって,もしかしたら非常にユニークな市立函館方式の形が出来てきて,それが市民にとって喜ばしい形になるのかなと思います。また経営にとっても良いのかなと考えております。いずれにしましても,今後,市と相談するにおきましても,我々病院局としては,もっと出来ることはないかというのをもう一度見直して,その上で考えていきたいと思います。今のところは経営の改善の余地が残っているんじゃないかというのがありますので,システムの見直しも考えながら,もう1年,もう2年くらいそういう方向で頑張っていきたいと考えております。ありがとうございました。

□熊木経理課長
ありがとうございました。次回の委員会は30年度の第一四半期の事業実績を議題といたしまして,8月の開催を予定しておりますが,皆様には改めてご案内させていただきたいと存じます。
以上をもちまして,本日の委員会を終了いたします。誠にありがとうございました。

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