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平成30年度 第2回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成30年8月27日(月) 17:00~18:20
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
     氏家委員,森下委員,川﨑委員,加藤委員,藤田委員
■オブザーバー:市立函館病院 佐藤副院長,成瀬副院長,中西副院長
        益子看護局長
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,本間庶務課長,
     熊木経理課長,野呂医事課長,崎野医療連携課長,
     船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,
     佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
それでは定刻となりましたので,ただ今より平成30年度第2回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
委員会進行の前に,皆様ご承知のとおり,去る7月12日に木村委員がお亡くなりになられました。ここで会議に先立ち,故木村委員に哀悼の意を表し,黙とうをささげたいと存じます。ご起立願います。黙とう。
ありがとうございました。ご着席ください。
今回の委員会から森下函館病院長が新たに委員に加わります。また,市立函館病院副院長に就任されました中西副院長にもオブザーバーとして出席していただいております。中西副院長から一言お願いいたします。

■中西副院長
8月から副院長になりました中西と申します。よろしくお願いいたします。函病のこの厳しい状況の中で,大役を仰せつかりまして身が引き締まる思いです。厳しい状況ではありますが,尽力したいと思いますのでよろしくお願いいたします。

□熊木経理課長
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお願いします。

2,議 事

■鎌田委員長
今お話がありましたとおり,木村委員がお亡くなりになられました。木村委員のご葬儀に参列させていただきましたが,通路を歩いていく若いドクターらしき方で,目を真っ赤にしている方が多くおりました。そうやって皆さんが想ってこられたのかなと改めて思いました。
今日は本年2回目です。簡単に事務局から説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・平成30年度函館市病院事業の事業実績(6月末)

■鎌田委員長
ありがとうございました。
それでは,以上のところでまとめてみると,函病,恵山と南茅部についても,執行計画比でも前年比でも収益ベースでも利益ベースでも改善しつつあるということです。これについて,氏家委員,森下委員お願いします。

■森下委員
今回から委員になりました森下でございます。確かに数字は良くなっておりますが,予算がもともと7億円の赤字です。確かに良くはなっているのですけども,これに浮かれているわけにはいきません。会社経営をしている知人に聞いてみると,やはり「出を減らして入を増やせ」と。言葉として聞くと簡単ですが,これを実現するとなると非常に難しいことだと考えています。
幸いなことに12ページの材料比率の見直しで,平成28年度の37.7%からは着実に落ちてきています。今年度で34.2%。これを33%台にしていきたい。今,どうしても先進医療をすると材料費がかかります。そこを圧縮するためには,そういうような材料を多く使う科と使わない科など科ごとに色々ありますので,準備ができ次第,氏家病院局長,私,副院長で各科のヒアリングをして,材料費の見直しを個別に出来ないかということを,まず一つ徹底してやりたいと考えております。
収入を増やすという事に関しては,函館の人口は減っていますが,高齢化してきているので,高齢化特有の疾患がまだ増えると日医総研が数値を出しています。その科については医師の数を増やしてもらえるように大学等に頼んで,そういう体制を作っていきたいと考えております。

■伊藤委員
今説明がありましたが,非常に努力なさっているのだろうと思います。材料費が下がってきているというのは,内視鏡手術等が多くなっている中で,大変すばらしい結果だと思います。
中西先生にお聞きしたいのですが,通常あまり厳しくない胃がんというのはどっちでやっていますか。

■中西副院長
胃がんは2割が内視鏡で,8割が開腹でやっています。

■伊藤委員
胃の摘出というのは基本的に胃がんしかないですよね。まだ増えてきますか。

■中西副院長
おそらく増えてくると思います。

■伊藤委員
開腹と内視鏡では点数は違いますか。

■中西副院長
違います。腹腔鏡のほうが一点何倍多いと思います。

■伊藤委員
材料費的にいうと,材料費を差し引いての実益ではどう違いますか。同じ疾患を開腹した場合と内視鏡で行った場合とでは。

■藤田委員
後程わかり次第ご連絡します。

■伊藤委員
材料費の高騰というのはどこの病院も大きな課題です。従来どおりの手術をしたほうが利益になることが実は多くて,どんどん利益率が下がっていくだろうと思います。それに対してどうするか,今や胃がんの手術を開腹するのは野蛮だというドクターもいるぐらいで,そういう中で材料費がどんどん増えていくので本当に大変。その中で材料費の割合をこれだけ下げられたというのは非常に評価することができると思います。

■鎌田委員長
ありがとうございます。今の材料費の件については,副院長いかがですか。

■中西副院長
胃がんの話で進めましたけれども,実際にお腹の中で手術する内容,例えば,胃を切って繋ぐというところで使う道具は共通です。腹腔鏡の場合,カメラのランニングコストですとか,あるいはポートと称する鉗子を入れるための道具ですとか,そういったものがプラスアルファになります。ですから,おそらく開腹よりも腹腔鏡の方がコストはかかると思います。胃を切ったり繋いだりするような「自動縫合器」,「自動吻合器」というようなものが大きくお金がかかるので,これに関しては,共同購入や色々な努力で安くしており,そこら辺は材料費として若干良い部分かと考えています。

■鎌田委員長
先週,事務局の熊木課長に来ていただいて,前から不思議に思っている数字のいくつかのポイントについて,どうしてこうなのだろうという話をしました。
総務省の公営企業年鑑という全国の公立病院のデータを集めた資料がありますが,入院1日1人あたり平均75,700円というのが,自治体病院の中でも高いのです。一方で,市立函館病院は材料比率が高い。手術件数は必ずしも多くない。これは一体何を示しているのか。実は私,伊藤先生がおっしゃったようなことを考えていたのです。開腹するのか胃カメラなのか,同じ病気に対してついつい材料比率の高い治療を行う。もちろんその方が,侵襲が少ないとか良い面があるのかもしれない。そこら辺が75,700円と材料比率と手術件数とで分析できるのでしょうか。先生方いかがでしょうか。

■森下委員
私,腹部大動脈瘤の専門家ですが,ステントグラフトといって低侵襲の治療を始めたパイオニアの一人です。最近分かってきたのが,70歳以下の人は開腹しても合併症が少ないので,開腹した方が経営的にはいいということです。ただし,75歳以上で開腹をすると合併症が出てくるので,色んな経費が逆にかかってしまう。それは低侵襲でやったほうがいいということです。私の教育の仕方も悪かったのか,若い先生方は皆ステントでやりたがるので,今後70歳以下の治療の第一選択は開腹して人工血管置換をすると変えようと考えています。これはエビデンス的に,きちんと患者さんに不利益がないということが分かったうえで行っていることです。

■伊藤委員
今の話はよく分かります。実質的に,手術的根治療法の方が確実性の高い場合はいいと思います。それをステントとかでやれるものをわざわざ開腹するということは,おそらく若いドクターの間で話題になると思います。うちも,動脈瘤をカテーテルでやる場合と開頭する場合がありますが,うちの場合でカテーテルは6割から6割5分くらい。開頭しなくなっている。ただ,開頭しないと若い医師の手術トレーニングにならないので,どっちでもいいケースや安全だろうなという時だけ往々にやっています。実は収益的にいうと,カテーテルをやると6割くらい実質収益が下がる。だから先生がおっしゃったように,本当は全部開頭してくれた方が病院経営としては非常にありがたいのだけれども,なかなかできない。おそらく先生のところもそういう流れになるのではと思います。

■森下委員
私達の分野では,そのステントというのがまだ完成の域に達していないので,遠隔期の合併症が多いということが分かってきました。5年間で約1割位再治療が必要になります。ところが開腹して人工血管に変えてしまうとそれがゼロになるので,そういうような長期的に考えると,必ずしも開腹することはマイナスではない,逆に患者さんにとってもプラスになるとわかってきたので,それは徹底させていきたいと考えています。

■伊藤委員
そこの理論武装が出来ればいいということです。

■鎌田委員長
理論武装が出来ても徹底は出来るのですか。

■森下委員
出来ます。エビデンスがありますので。

■鎌田委員長
そういった処置については,より医学的に患者さんにとって良い治療であることと,病院にとっても収入もコストも改善して両立しているということですね。

■森下委員
そういうことです。科や診療によって色々違うので,ヒアリングをして適正化できるものは適正化してもらい,低侵襲でやった方が良いというところには無理は出来ないので,そこの個別化を図っていきたいというところです。科ごとに違うというところです。

■伊藤委員
なかなか難しいです。一般的にカテーテルで大動脈解離をおやりになると,手術時間はどれくらいですか?

■森下委員
解離をステントで行うと1時間ちょっとですけども,開胸で人工血管置換をすると5時間くらいです。

■伊藤委員
委員長,ここで問題なのが手術の麻酔料というのがけっこう大きい。1時間半で終わる麻酔と5時間で終わる麻酔とでは麻酔料に差が出る。麻酔料というのは実は人件費だけでかなり利益を生むのですが,昨今の麻酔科医が足りない問題があります。

■鎌田委員長
今,麻酔科医の数は。

■氏家委員
常勤では5名,応援もおりますので6.5名くらい。私も麻酔科医の一人ですが,局長職の方が多いので。

■伊藤委員
麻酔をかけられる事はあるのですか。

■氏家委員
かけていますし指導もしています。

■伊藤委員
麻酔科医は圧倒的に少ないイメージです。

■氏家委員
偏在がありますし,少ないですね。本当はもっともっと麻酔科の先生にいろんな幅広いことを行ってもらえればいいのですけども,5人だけでは少ないです。ただ昔は麻酔科がやっていた救急については,こちらは救急医の専門がおりますので,麻酔科は救急から外れる形になっています。麻酔と集中治療に精通してもらうという形になっております。

■藤田委員
医事課の方で腹腔鏡の場合と開腹の場合を出しました。ただ,消化器系の方で特化して消化器科の方で数字を拾ってましたものですから,心外や脳外というところではありませんが。

□野呂医事課長
医事課長でございます。概ねですが,手術料的には腹腔鏡の方が高くなっているというのがほとんどですが,ただ入院期間等考えますと,どうしても開腹すると入院が長くなる,腹腔鏡ですと入院期間が短いという事で,トータルの医療費ということで考えますと,開腹の方が金額は多くなります。

■伊藤委員
単価が上がって高回転して患者さんがいればいいが。

□野呂医事課長
その兼ね合いと,患者さんにとってはもちろん入院期間が短い方がいいこと,あとはもう一点,例えば,胆嚢摘出のように腹腔鏡でやるものが一般的なものは,逆にそういう手術であれば開腹をしなければならないということで,逆に開腹の方が高くなるというケースもございますので,概ねは腹腔鏡の方が若干高いという形になっております。

■鎌田委員長
ありがとうございます。ちょっと話がもとに戻りますが,我々はここ数年間,病床削減して何とかコストを下げて,一方で75,700円ということで入院期間も比較的短めにしてきましたが,黒字にならない。
事務局にお聞きしたいのですが,一般476床で回している。これでは中々黒字になるのは大変とか大変ではないという話はあるのでしょうか。数年前ですけれども,休床の話が出てきたときに私はこう思いました。固定費,つまり人件費と経費が減らないで,売上と原価だけ変わったら赤字になるに決まっている。この数年固定費を下げているのかという話があります。

■伊藤委員
確かに今委員長がおっしゃったように,私もベッド稼働率が低すぎると思います。函館病院はこの地域で大学病院の代わりですから,高度急性期に値するのですが,そういう病院でベッド稼働率が75%くらいの病院はあるのでしょうか。

□熊木経理課長
病床利用率につきましては,我々のように休床している部分が,他の病院のデータで見えてこないものですから。

■伊藤委員
この74.6%というのは何を基準にしているのでしょうか。

□熊木経理課長
74.6%は,許可病床に対しての病床利用率でございます。

■伊藤委員
休床している部分を除くとどれくらいになるのですか。

□熊木経理課長
それを除きますと,1ページの函病の中段あたりに病床利用率の(結核,感染症,休床除)というところに記載されております93.0%が4月から6月までの実績となっております。

■鎌田委員長
逆に言うと,休床を除いたベッド数のキャパでいうと93%も回っているということですか。またそれを逆に言うと,休床しても建物を壊したわけではないので,仮に数字に入れると70%まで落ちるという事ですね。この数年間休床数を増やしていましたけれども,人員やその他の固定費は減っていない。いかがですか。

□熊木経理課長
休床をして生み出された看護師につきましては,救急専用の病床ですとか手術室の方に配分するという形で,増収を図るという対応をしておりました。

■鎌田委員長
要は,違う形で働いているので,別に人員が減って人件費が下がったとか,その他の固定費が下がったということにはならないという事ですね。

■森下委員
現実には93%で夏場は回っています。冬になりますと,例えば感染症等でさらに増える可能性があります。その時に今の病床では受けきれないと,せっかく患者さんがいるのに返してしまうということにもなりかねない。そこを氏家委員は非常に心配しておりまして,増床のシミュレーションをして,今後どうしていこうか考えるというのが一つ大きな問題です。

■鎌田委員長
休床しているものを再開させるという事ですね。

■氏家委員
逆に伊藤先生にお聞きしたいのですが,私が悩んでいるのは,ベッドを減らして稼働率を上げて,そして単価を上げるような医療をやるのと,ベッド50床をかけて若干単価は下がるのと,トータルとしてはどうなるでしょうか。

■伊藤委員
単価はそんなに下がらないのではないでしょうか。患者さんをこのレベルで入れて,コメディカルの数を揃えているのであれば。

■氏家委員
休床しましたが,人数が減っていなくてその分手厚い医療を行っています。

■伊藤委員
そこが贅沢すぎます。今,看護は全病棟7対1ですか。

■氏家委員
重症系のICUとかを除いて,一般病床は7対1です。

■伊藤委員
そこが問題です。今は病棟ごとに取れます。傾斜配分で十分可能なのですが,7対1を手厚くないというととんでもない話になるので。

■益子看護局長
現在は一般病棟で7対1の看護師配置をしています。それを10対1にするという話になるのかもしれません。

■伊藤委員
7対1でいいと思います。問題は50床あった時に7対1にしていたのに,これを休んで,7対1より高濃度な6対1であれば無駄という話です。

■益子看護局長
一般病棟でいいますと,7対1が年間を通してきちんと取れているのかというとそうではなく,年度末になると退職者が出て厳しくなるような状況です。

■伊藤委員
今はどこの病院も看護師不足です。函病はたぶんそういう話からすると,看護師に余裕があるのだろうと思います。余裕がなくて実質上7対1,基準の厳しさもあるが10対1にしたり,ギリギリの中でさらにギリギリになりながら,他の急性期病院はうまくやりくりして,職員が辞めても7対1を維持する方法をいろいろ苦労しています。ここは万が一の最低になった時に7対1を維持できるように,さらに多く入れるという考え方を改めない限り,看護師は5人いても7人いても10人いても一緒です。例えば,この病床の定数は23人で,辞めたら困るから2人入れて25人とする。それでも1人辞めると1人減りますから足りないと必ず文句を言う人がいます。この意識の改革が将来的にも重要な事だと思います。

■氏家委員
やはり50床多くした方が良いのかと。しかも休床していると地域医療構想の削減対象になります。ずっと500床弱でいくのか,ちょっと余裕を持っていくのかと考えなくてはいけない。
職員数については,一時的にオーバーする時というのは必ずありますが,オーバーする時の事を考えて人を配置してきたと思います。日常的にある数のところで配置していかないと無理なのかという気がします。しかし,職員は今までそれでやってきたので,そこは意識の改革と,自らこうした方がいいと考えることを期待しながらやっていくようにしています。

■伊藤委員
急性期病院で93%という稼働率はおそらく全国的にみても驚異的な数字だと思います。そこで回せること自体,私はよく回せるなと思います。これは常時回す意識がないと出来ない。

■氏家委員
ベッドを多くしておいて85%くらいでうまく回っているという感じで,93%は大変です。

■伊藤委員
これだけの単価で,93%で回して赤字が出るのは,この病院が構造的におかしいのだと思います。

■鎌田委員長
93%というのは分母がベッド数ですよね。総務省の資料によると医師一人当たりの看護師数は函病は高いのではないでしょうか。50床再開するキャパはあるのかもしれない。

■氏家委員
看護師は女性が多いですから,子育ての時期などがあるので看護局も苦労していますが,なんとか工夫しながらやっていこうと思います。
函病の場合は外来とか病棟ではないところの看護師が総体的に多い気がします。確かに夜勤とかは出来ませんが,それらを病棟に上げるように工夫しております。何とか黒字にしないことには,資金不足比率が減っていきませんので,黒字の方に持っていこうと考えて,新たな意見を聞きながら方向性を確認しているところです。

■鎌田委員長
仮に7万円で50床開けて365日あったら12億円です。もちろん,現場の皆さんが耐えられるかという話もあるのですけども。仮に,7万5千円が7万円に下がったとします。単価が5千円下がる。365日,ベッド数は476床だと8億円減少する。差引で4億円。もし7万円まで下がらないで7万5千円に近いものを維持できれば12億円の増収になる。

■氏家委員
前からそういう意見がありまして,もう一度検討してみます。一気に増やすのは大変になりますので,少しずつその方向に持って行った方が良いのかなと思います。

■鎌田委員長
色々と厳しい意見も出ましたが,益子看護局長は50床増というプランについて,現場の皆さんが頑張れるかどうかというのはどうですか。

■益子看護局長
現場としては,看護の質というのは若干落ちていくのかなというのは思います。人数が多いところの質と,少ないところの質は違うのではないかという感じがします。
患者の数についても,476床プラス50床にしたときに,絶対に患者を入れられるのかという疑問があります。かつ,入ったとしても重症度の低い患者さんが多く入ることによって報酬も下がっていくという部分を懸念しています。
もう一つ看護師の働き方改革ということを言われており,有給休暇は十分に取れているわけではありません。そういう部分も,病床を作るといったことでまた厳しくなるのではないかという懸念はあります。

■伊藤委員
それを全部計算してみればいいのではないですか。有給消化率を何%においているのか,50,80,100なのかわかりませんが,そうした場合に実労働はどうなのかを計算する。
実質,各科の待機患者がどのくらいいるのかということが問題です。これは何日待ちが適正かわかりませんが、仮に入院待ちが1ヶ月であれば,50床開けると2週間に縮まるかもしれない。
私もよく患者さんのカルテを見るのですが,この人がそんなに待たされるのか,というくらい待っているわけです。待機している人がどのくらい入院待ちが妥当なのか。でも重病におかされたら,1日も早く入院したいというのは患者サイドとして当然の希望だと思います。だから,そこを考えて,単価が下がらないで成り立つかどうか計算できると思います。早急に議題とする問題ではないと思いますが,将来に向けて考えなくてはいけない。

■佐藤副院長
手術棟運営委員会の委員長をしておりますが,手術件数を増やすと待機患者がどのくらいになるかヒアリングをしたところ,マンパワーで無理,医者が少なくて無理だという返答でした。

■伊藤委員
ある病院は整形外科の手術が朝から夜の8時までびっしり,というところがあります。公立病院が時間外で定期の手術を請け負うというのは,悩ましいことですよね。

■佐藤副院長
図らずも時間外になるということはあります。あとは緊急で当然することはあるのですが,予定手術で時間外になると麻酔科のからみもありますのでなかなか難しい。

■鎌田委員長
7万5千円で在院日数も12日とかで,ここ数年一生懸命やってきているがどうしても黒字化しない。事務局の方ではどうなのでしょうか。470・480床で黒字になるには,稼働率は何%くらいになるか試算したことはありますか。

□熊木経理課長
収支が均衡する病床利用率というところまで試算したことはありません。

■藤田委員
実際に細かい試算はしておりませんが,470床の病床で7万5千円のままフルに入りますと大体128億位になります。予算は120億位ですから,フルに入れて今の単価のままで8~9億円位の増収です。材料費が3分の1取られますので,それで6億位手元に残るという状況です。そのため,今の病床数で100%稼動を今の単価でやったとしても,プラスマイナスゼロになるか,という位です。50床開けて単価が下がったとして,例えば7万円で運用が出来たとしても,患者を500人入れたとすれば127億ですから,これで大体先程の100%稼働したのと同じくらいの金額になります。これで大体94%の稼働率ということですから,これでもかなり厳しいのですが,このくらい患者が入れば1病棟開けて大体6~7億の増収になるのかな,というのが単純な計算になります。

■伊藤委員
高度急性期病院が94%の稼働率で,それでも収支が合わないというのはどこかおかしいですよね。

■藤田委員
ですからそこの部分は,材料費の比率が高い部分があります。予算では33.5%とみておりまして,ここがやはり30~31%というような他の病院並の率に下がればその分の支出も減りますので,その兼ね合いかなというようには見ております。

■鎌田委員長
取りあえずここ数年間は休床としてやってきていますが,DPCがⅡ群になったからといって何かいいことがあるのでしょうか。北海道内でⅡ群は2・3件しかなかったと思いますが。Ⅱ群になりたいから病床数を減らすということはあったのでしょうか。

■藤田委員
2年前にはⅡ群の効果が2億5千万円くらいというような話もございました。今ですと係数も下がっておりますので,1億数千万円ではないかなというのが医事課の試算ですので,前から見れば効果額は半分以下かなと思います。

■鎌田委員長
そうすると,病床数当たりの何かの比率を上げてⅡ群を目指そう,頑張るというのは意味がないということですね。

 

■藤田委員
外保連の数字の一つをターゲットにしておりますが,そこの部分は最終的には取れればいいなということで,そのために病床数を下げるというのは,結果的に上手くいっても1億円にしかならないということです。

■鎌田委員長
Ⅱ群でなければというのは無理しなくてもいいのでは。
次の話題も非常に微妙ですが,7対1でいいのか10対1でいいのか。あるいは病棟ごとに7対1か10対1か。

■伊藤委員
これは条件が整えば7対1の方が絶対いい。看護師の確保があるので。7対1を維持できる要素があるのに10対1にする必要はないと思う。経費を考えるとそんなに差はない。だけど働く人たちからすると10対1よりも7対1の方が楽ですから。それを考えると維持できるのならした方が良いと思います。

■鎌田委員長
現場の皆さんが7対1の方が良いと。

■伊藤委員
大阪のある医療機関では,心臓CTのために入院させています。普通はおそらく外来でやります。こんな姑息的なことを大きな医療機関でやっています。

■鎌田委員長
市立病院が無くなるより良いかもしれない。多少のことをしても。

■森下委員
もちろん,経営は今一番大事だと思っていますが,やはりやっていいことと悪いことがあると思います。グレーなところまではいけるかもしれませんが,ブラックは駄目です。

■鎌田委員長
別に私もブラックを,と申し上げている訳ではありません。

■伊藤委員
今から約40年近く前に函病が年間5億円の赤字を出しました。古い職員方は記憶にあるかもしれません。橋本昌武院長が大号令をかけて皆必死になって頑張ったのを覚えています。そうすると1年間でプラス5億円になった。1年間で10億改善した。当時はその位余裕があった。今は本当に至難の技だと思います。赤字が出るのはやむを得ない。それをどこまで縮めるかです。

■氏家委員
確かに黒字になるかどうか分かりませんが,函病の場合は伊藤委員がおっしゃったように少し余裕があるように思います。例えば手術室も看護師がちょっと多いのかなという気がします。4対1でいい病棟が3対1になっていることは,患者が重症であるからしょうがないというのもありますが。
もう一つは医療安全の問題もあって,それは大事なことですが,もしかしたら色々な事をやりすぎているのもあるのかと。看護局長にお願いしたいのが,無駄なことはやめて有効なことを効率化してやって欲しいと思います。

■伊藤委員
病棟会議とか安全会議とか招集してやった時,現場の看護師はその会議をやっている時間は労働時間にカウントされません。だから7対1を維持するのにちょうどでやったとすると,1時間の会議に1人行くとそこは7対1が成立しませんと言われます。だから現場からすると,人は多め多めにしないと不安というのはよく分かります。

■鎌田委員長
そういう意味では若干多めで良いのです。

■益子看護局長
7対1といっても実際にそれだけの人数がきっちりいれば出来るかと言えば,絶対出来ません。先程,氏家委員もおっしゃいましたが,医療安全といったところも非常に強化されております。また,診療報酬の加算を取るために,看護師が行う事務作業というのが非常に多くなっています。看護師はちゃんと看護ができるのかというと,どちらかというと比重は事務作業の方が多くなってきていると今は言われている状況です。そういう状況下において,7対1をキープできるならば絶対にキープしていきたいと思っております。

■鎌田委員長
今人を減らそうとか,人件費をカットしようと言っているわけでなくて, 50床位増床して頑張れないかという話です。ゼロに向かうにしろプラスやマイナスに向かうにしろ,新たにスタートする基盤ができれば良い。
多分,市立函館病院としてこれが最後のチャンスです。函館市だって財政が楽な訳ではありません。赤字のまま転げていった挙句,市も財政が厳しいからという話になってしまったら,金勘定から始まってあるべき姿を問うみたいな逆転した話になってしまいます。
お手元の資料の6ページの対執行計画ですが,対執行計画でも対前年比でも,売上も利益も改善している。特に利益の改善は,皆さんの給与カットの幅よりも利益の改善幅の方が多い。これだけであれば,給与カットは仮に来年以降しないとしても多少の増益は残る。ただ,事務局の執行計画で行くと,30年度末の資金不足比率はこの執行計画でいくと何%ですか。

□熊木経理課長
30年度の予算上での資金不足比率は約24%程度であると考えております。

■鎌田委員長
執行計画のままでいくと20%を超えてしまうということですね。給与カット分を織り込んでも20%を上回ってしまう。ではそれを20%に下げるためには,いくら経費のカットが必要かというと約3億円だそうです。とすると今回第一四半期では,2億円位上回ることができた。年度末まで頑張って3億円ベースを維持しないと20%は危ないということです。この執行計画よりもう一段頑張っていただきたい。

■伊藤委員
6月のボーナスはこの期で入っていますよね。年間で分けていませんよね。極端にいうと,7,8,9月はボーナス分がなくなる。1,2,3月も。ですから,これよりはるかに良くなるのではないでしょうか。

■鎌田委員長
良くはなっているが20%をにらんだ場合には油断は出来ない。
患者さんのこと,収入・利益のこと,キャパのことなどの話がありましたが,要は現場の皆さんが何とか頑張って50床対応していただければなんとかなるかもしれません。本当に大変なところだと思いますが。

■氏家委員
赴任して5ヶ月たち,システムは変えておりませんが,職員の努力で収入は増えています。また,組合の了解で賃金カットが出来ました。このようなことを行って今の成績があります。構造的に変えないともう少し赤字を減らすとか黒字が見えるとかというところまではいかないので,何が一番いい方法なのか考えます。出来るだけ院内の被害者を少なくしてやって行きたいと思います。
また,今までのなんとなく敷居が高いということではなくて,できるだけ地域の病院との連携を濃くしてお互い助け合っていくという形でやっていくようにしていきたい。函病はまだまだいけると,先程伊藤委員がおっしゃったように5億円の赤字が,次の年5億円の黒字になるというような可能性を秘めているのではないかと私は思っていますので,よろしくお願いいたします。

■鎌田委員長
今日は議論が色々ありまして,ご発言いただく機会の少なかった委員の方には申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。
次回は3か月後になります。よろしくお願いいたします。

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