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平成30年度 第3回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成30年11月14日(水) 16:30~18:00
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
     氏家委員,森下委員,川﨑委員,加藤委員,藤田委員
■オブザーバー:市立函館病院 佐藤副院長,成瀬副院長,中西副院長
        益子看護局長
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,本間庶務課長,
     熊木経理課長,大吉医事課長,崎野医療連携課長,
     船木医療情報企画課長,野呂恵山病院事務長,
     佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
それでは定刻となりましたので,ただ今より平成30年度第3回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお願いします。

2,議 事

■鎌田委員長
それでは本日の議事の次第に従いまして,進めて参ります。まずは第二四半期の実績報告を事務局からお願いいたします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・平成30年度函館市病院事業の事業実績(9月末)

■鎌田委員長
ありがとうございました。
対予算比や対前年比でみても,3病院それぞれ少しずつ良くなっており,それがこの資料の中に表れています。今心配しているのは,国の制度の累積資金過不足の比率で,分母が医業収益で,分子が累積資金過不足となっています。それが20%を超えると色々と国の管理下に置かれるということです。そうはならないように頑張ろうという事です。
そこで事務局にお聞きしたいのですが,9月末または来年の3月末でも結構ですが大体何%位になりますか。

□熊木経理課長
9月末という期の途中では算出しがたいものがございますが,3月末になりますと,あくまで現時点の見込みとして20%ちょうど,もしくはギリギリと,本当に微妙な数字になると想定しております。

■鎌田委員長
その場合,来年3月末の見込みで利益はどのくらいになりますか。20%になりそうという場合に利益はいくら位になりそうですか。

□熊木経理課長
資金不足の金額ですが,おおよそ3億程度になると考えております。

■鎌田委員長
資金不足が3億程度になるが,それはそれで縮まったという事ですね。

□熊木経理課長
昨年が約10億の資金不足ですので,かなり縮まったと思います。

■鎌田委員長
それでもなお20%ギリギリかもしれないという心配があるという状況です。
そこを踏まえまして,各委員の方々のご意見を伺いたいと思います。

■氏家委員
累積資金過不足は昨年度でいっぱいの状況です。今年3億の赤字になるという事は,そこを超える事になりますので,単年度黒字をコツコツと積み上げていくことが必要になってきます。一気に単年度黒字までいけるかどうか難しいのですが,事務局の考えではマイナス3億くらい。院長以下我々,出来たら今年度もう少し赤字を削減したいと考えています。来年度には黒字になるための方策を考えてやっていきたいと思っております。

■鎌田委員長
各院長先生方や副院長先生方のご意見もあるかと思います。森下委員お願いします。

■森下委員
今,氏家委員が話したとおりです。現場で出来るのは材料比率を更にもう少し下げられないかという事と,医業収益を上げるために,患者さんの1日あたり平均在院数を,前期445.5人だったのを465人にしたいということで努力しております。10月下旬から11月上旬は,この数字に近づいてきています。年末・年始にかけて長い連休があるので,その数値は必ず下がりますから,今の状況に満足することなく邁進していきたいと思います。

■川﨑委員
恵山病院につきましては,外来,入院減っていますが,一番の要因としては,医師が一人減ったという事と,看護師が退職したことにより,病棟体制が組めなくなったことや,透析と外来両方を看護師が4.5人で行っていたのですが,4.5人で透析を回すというのは非常に難しく,透析の患者さんを制限せざるを得なかった。そういった人の問題が大きくて,入院,外来が良い成績にならなかった。函病から看護師を異動していただき,看護師の体制が少しずつ整ってきております。10月くらいから少しずつ透析患者さんを受け入れられるようになってきていますので,下半期はもう少し入院,透析とも増やせると考えています。

■加藤委員
南茅部の方は,一般,療養ともに20人程度で推移しています。外来につきましては,長期投与が多くなっておりますが,次の診察までの間に検査結果を電話で伝えることで再診料が算定できます。700円と微々たるものですが外来収益を上げようとやっています。
また,ボーナスの減額で職員が危機意識を持ち,患者さんを大きな病院に送るときに,中央病院や五稜郭病院などの選択肢がありますが,基本的には函病を勧めています。地域から遠いということで職員も勧めづらかったのですが,函病に送りましょうとなっており,そういう努力もしております。

■鎌田委員長
いずれにしても,改革や改善と言葉で言っても,昨日まで自分がやっていたことに少し工夫を込めて変えるというところや,現場の皆さんの意識とか気持ちも大事だと思います。そういった現場の近くにいる副院長の先生方いかがでしょうか。

■佐藤副院長
私は整形外科なので,医療材料の共同購入でなるべく安く買うということと,無駄を省きましょうということを率先して看護師に言うようにしています。現場はボーナスカットの影響もあると思いますが,医者が率先してそういう事を言うと,かなり浸透していく印象があります。
病棟もなるべく空床をなくそうと努力しており,満床に近い状態で回しているので,現場の努力はかなり大きいものと感じます。

■成瀬副院長
一つは入院患者をいかにして確保するかという事でありますが,内視鏡件数に関しましても,地域の先生方とのコミュニケーションが大切で,消化器内科としては木古内の病院に月2回内視鏡検査の診療応援に行っています。そうしたことを含めて,患者さんの紹介,内視鏡件数が持ち直してきていると思います。
病院の管理職側から診療科長を通して,入院患者の確保や,入院期間の問題,そうしたことも徐々に現場である程度考えていただけるようになったのかなと感じております。

■鎌田委員長
20%という危機的状況を,現場の皆さんは今まで感じていたのでしょうか。

■成瀬副院長
基本的に医師に関しては,ある程度長くこちらに勤務されている方,あるいは研修医の方をはじめとして2~3年で異動される方も多くいらっしゃいますので,年齢であるとか,医局から派遣されている状況によって違うと思います。しかし,一緒に働いている状況の中で,そうした方々においても病院経営に対してある程度の責任と考えをもって対応しなければいけないという事が,徐々に浸透してきているのではないかと考えます。

■中西副院長
皆さんおっしゃっているとおり,厳しい病院をこれだけの病床利用率で回しており,現場がかなり忙しかったり厳しいというのがありますが,協力して頑張ってくれていると思います。それから,無駄を省くという事で,ガーゼ1枚,針1本の使い方から皆協力してやっていると思います。
あとは新患をどんどん増やすということはまだ十分とは言えないと思います。また紹介率が徐々に増えてきています。外からの患者さんも増えてきているというのがありますので,そこら辺もちょっとずつ出来ればと思います。

■鎌田委員長
資料にはありませんが,紹介率もここ数年でどんどん上がってきているのですか。

■中西副院長
どんどんではないですが,ちょっとずつ上がってきています。開業の先生から紹介していただいています。

■益子看護局長
看護局の理念として,経営参画を掲げております。意識的なところが大きく変わったのではないか,と思っております。コストカットにおきましても,看護師として率先して行っております。汎用と言われるようなシリンジ類,針,ガーゼ等にしても,共同購入品の中には脆弱なものも結構あります。それでもこれで慣れていこうというような形で,看護師もそれらのものを使って看護をしているという状況です。また,病床利用率に関しましても,スムーズに患者さんを受け入れられるような体制といったところで,常に埋めるんだという意識で回転させているといったところです。

■鎌田委員長
今回の出た数字を見ると,一人一日あたりの入院単価が73,000円だったのが74,000円に上がったというのは凄く良い数字で,現場の努力以外のなにものでもありません。これを外部委員の先生方に伺ってみたいと思います。

■伊藤委員
ベッドの稼働率が92.7%というのはほとんど満床で,どこも空いていないという状況が続いたと思います。努力の賜物だろうと思います。
恵山や南茅部はどんどん患者が減っている。ベッド稼働率は大体50%くらいですが,看護師の人数というのは,ベッド数でそろえているのですか,それとも実際の稼働率に近い状態でそろえているのか伺いたい。

■川﨑委員
病棟の看護師の数に関しては,救急車の受け入れもやっており,転送等で1人が救急車についていかなくてはならないという事態が発生します。そういう事で病棟の夜勤は3人体制というのを維持してきている。本来であれば,今の病棟の看護師よりもかなり少ない数で足りると思いますが,救急指定を受けていることが制約になって,最適化は出来ないと考えております。人数的にはもちろん満たしておりますし,看護師は余っていると思いますが,夜間休日の急患対応や,CPAについても実際に地域で亡くなられるとほとんど当院に搬送されてきますので,病棟の看護師を一般的な数で回し切れない部分というところがあります。
外来の看護師の数も,透析と病棟を4人半でやっていました。だいたい透析患者さん18人位,外来も行いながら4人半の看護師で回すという事を行っておりました。常に外来と透析の間を人が動かないとやって行けないという事態で,さらには看護助手が透析器械の事前準備の手伝いを行うなど,そういった事までやらなければいけない事態になっておりました。そういった意味では,一般的な数だけでは管理ができない部分もあると思っております。

■伊藤委員
透析患者は一日平均18人位ですか。

■川﨑委員
全部で18人位の患者さんを受けていますが,月水金の午前午後,火木土の午前で透析を行っておりますので,最大22人位受けられます。

■伊藤委員
一日平均何人ですか。

■川﨑委員
月水金に関していえば,15人です。

■伊藤委員
外来には透析の数は入っていますか。4人半でよく回りますね。

■川﨑委員
一般的に考えると回らないと思います。どのようにやっているかと言うと,朝7時に看護師が出てきて,7時半から透析を回す。それで午前が大体12時くらいに終わったら,すぐ午後の透析患者さんを入れて,4時過ぎには終わるというスケジュールで透析をやっております。通常の透析施設のように午後2時くらいから始めて6時くらいでもいいのではなくて,5時くらいにスタッフが帰れるような形で,午前午後行っているところです。外来が少ないので,透析と外来を兼任でやっているのですが,これはなんとかしなくてはいけないと考えており,少し看護体制に余裕が出てきましたので,4.5人の数を8月から1人増やして,更に12月からもう1人増やして,全部で6.5人にして回していこうと考えています。透析の看護師は,そう簡単に病棟から動いてきて出来るわけではないので,これも習得するのに一定の時間がかかりますし,研修もしていただかなくてはいけないので,徐々に改善していこうという体制で行っています。

■鎌田委員長
ありがとうございます。それでは高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,これまでのところでご意見コメントお願いします。

■熊谷委員
先ほど医師の派遣で,派遣した結果,医師の紹介によって患者さんが増えているというお答えでしたけれども,現在いくつの病院に派遣されているのか,また派遣することによって,函館病院そのものの医師に対する負担が大きくなっていないでしょうか。

□崎野医療連携課長
派遣している施設は5施設になります。松前病院,木古内病院,道立江差,森国保病院,奥尻病院となっております。

■森下委員
派遣している医師は基本的に医師数の多い科を選んでおります。例えば1科に9人いる科,そういうところから業務に負担があまりかからないという事で行っていただいている。1~2人しかいない科の先生には基本的にはお願いしていません。

■熊谷委員
南茅部病院も整形の先生が来ていただけることになりまして,本当にありがとうございます。整形も今と同様の形で,医師が余っているから来ていただけるということではないでしょうけども,整形の先生が来て,それに対する負担は無いと考えていいでしょうか。

■佐藤委員 
去年,木村院長がご存命の時に,医師の引き上げがあって,南茅部病院から是非来てくださいという事でしたがお断りしておりました。今年の10月から1人若い医者が来てくれたので,一応6人になりましたので行けるようになりました。ただ6人体制なので行けるのであって,5人に減ってしまうと出来ない部分もあります。

■熊谷委員
地域とすれば,一番欲しかった科であり,そういった患者さんが多いものですから,ほとんど旧市内の病院に取られているということが多い。ただ今月から来ていただいた中で,どれだけ患者さんが来てくれるかというのは未知数ですが,よろしくお願いします。
それともう一つ,薬剤の材料費について,前に木村院長先生の時もそうでしたが,ジェネリックを大いに活用していくようにしていますというお答えがありまして,今回も薬剤材料費が下がりました。今後もジェネリック薬品の割合をもっと可能な限り増やしていくのでしょうか。

■森下院長
ジェネリックに関しては,国からの要求がありますので,今余裕があるからといってギリギリにしてしまうと,次に高いハードルを課せられた時に対応出来なくなります。一般的な薬でジェネリックがたくさんあるような薬に関しては,積極的に対応していきたいと思います。もちろんジェネリックが無いものに関しては,そうはなりません。

■鎌田委員長
今お話が出た恵山病院や南茅部病院についても改善が見込まれていけばいいのですが,函病に関しては,数字的に非常に大きい。11月には休床されていた病床が一部再開されるという事で,目的を森下委員お願いします。

■森下委員
現在476床で,465人の入院患者を目標としているのですが,ほとんど綱渡りの状態です。私たちの病院は年間5,600件ほどのドクヘリ・救急車対応を行っておりますので,10床程度の余裕ですと,対応がかなりタイトで厳しいことになります。今の体制はあまり大きく変えないで,10床増やすことが可能ですので11月19日から10床増床して,少し余裕を作りたいと考えています。

■鎌田委員長
それによって収益的にはどれくらいになりますか。

■森下委員
9月までの445人から現在は465人で20人増えますが,1年間で薬剤材料費を除いて年間3億6千円の増収がありますので,半年で1億8千万の利益がでることになります。

■鎌田委員長
休床していた病床を再開すると売り上げが増えて利益が増えるという事ですが,伊藤委員どうですか。

■伊藤先生
これだけの高稼働をしていれば,空いているベッドがあれば当然。これは,50床の病棟のうち10床を開けるのでしょうか。

■森下委員
50床休床している病棟がありますが,再開させると看護職員配置の問題がありますので,一般病棟内のICUをECUにまとめて10床分、一般病棟に作りだしました。

■鎌田委員長
稼働率というのが96とか97なので,実際に働いている現場の方たちの負荷があるのでは。

■益子看護局長
病床数が増えて稼働率が下がっても,実際に楽になるかというと楽にはならない。重症度は変わらないですし,その分患者さんが増えるという意味で,看護師の業務が軽減出来るかというとそうではない。ただ,先ほども言いましたように,看護師の経営への参画といったところでは,今回の10床プラスについても話をして同意していますので,対応していければと思います。

■鎌田委員長
10床増やすという事で,稼働率という見かけ上の数字は若干変わるんでしょうけども,実質上は単純に10床増えるから仕事は増えるかもしれないという事ですね。そこで仕事が増えるかもしれないということで,人数を増やせばいいのでしょうが,そこを我慢しないと20%に行ってしまうかもしれない。なんとか仕事の量を減らしてやりたいところですが,やらなくてもいいんじゃないのという書類や手続きがあるのかどうかという部分はどうですか。

■益子看護局長
今までも業務改善という事は行っていましたが,業務改善ではなくて業務削減ということで取り組んでいきたいと思います。捨てられるものは捨てよう,そういうような考えで全体的な作業を削減したいと思います。

■高橋委員
仕事を減らすとか,やめるというより効率を良くするということですね。

■鎌田委員長
業務のたな卸しというか,何をやっているかをチェックして,その中でいらないものは捨てるという事です。そのあたりは,チェックしてくれるような機関はありますか。

■氏家委員
それぞれの部署によって,業務は違う事があって,今のところ各部署で見直しをしてもらうという事でやっています。またその過程で外部からの意見を求めたいという事であれば外部の評価も受けることになります。
例えば,看護業務というのは患者さんの看護以外に,看護師を教育する業務があります。それをどこまで徹底的にやるのか,それとも自分中心で伸びていくのを待つか。それがここの病院ではスタンダードなのか,それともちょっとおかしいとか,足りないとか,そういう辺りは見てもらってもいいのかと思っております。多分長い歴史の中で積み上げられてきたもので,看護局はあちこちの病院を見ながら自分たちを振り返っていると思いますが,そういうものを下半期でやっていこうと,そうじゃないと業務が多くなって皆さんの負担がかかります。一番大事なのは,患者さんを診て治療して看護していくという事,病院一同力を注いでいくという事で,いらない所は減らしていくという見直しが大切だと思います。

■伊藤委員
10床増やすために無駄が増えることになる可能性はありますが,その辺は計算されているでしょうから問題ないと思います。

■鎌田委員長
そうすると,無駄な仕事を減らしていく事で,10床増加に対応していくと。先ほど20床で2億位の利益が出るという事ですね。

■森下委員
追加させていただきたいのですが,10億円の赤字を4年間続けてきて,本当に2億,3億まで減らすことができるのかというところから始まりました。半年間院長をやってきて,私もそうですけども皆が思っているのは,かなりハードに働かないと黒字に到達できないと分かってきました。今後も黒字化のためにはハードな働きが必要かもしれませんが、職員が疲弊するようでは長続きしませんので,業務を効率化して,2年,3年,4年と続けていけるように,次を考えていかなければいけないと考えています。

■鎌田委員長
業務の量を減らすという事で,休床の再開などが可能になる。氏家委員いかがですか。

■氏家委員
ある程度時間をかけないと,人と人とが行っていくことですから,機械じゃないので,効率を切り替えるという訳にはいきません。それから,お互いの了解の下でやっていかないといけないと思っていますので,少しそれぞれのところで確認しながら,納得をしてもらいながら進んでいこうと思っております。
私がここに来る前,伸び代がないくらい大変で,10億の赤字が続いているのかと思いましたが,来てみて分かったことは、函病が凄いポテンシャルを持っていることです。例えば,50床のベッドが残っている,看護師の数もある。ドクターも高い技術を持った先生方が居らっしゃるということで,これはおそらく改善出来ると感じておりまして,その方向で皆さんやってくれています。それは,賞与カットという普通は考えられないケースの刺激療法が効いていると思いますが,刺激療法がずっと続くと耐性ができてきますから,なるべく自分たちの手で黒字化をしたい。そして自信を持っていくようになってくれればよいと思います。

■鎌田委員長
給与のカットまでして,現場の皆さんに負担を強いているわけですが,不幸中の幸いで給与カットしたのが,危機感の共有になっている。あとこれを戻すという事が皆さんのインセンティブに向かっていくような,流れの作り方です。森下委員,副院長いかがしょうか。

■森下委員
給与カットというのは劇薬で,先ほど危機意識という話が出ていましたが,よっぽどの変わり者じゃない限りは,給与カットは止めようという考えに反対する者はいないと思います。そのために行う対策に対しては全員一致で頑張れると思います。いまこの半年間でその効果が出て,かなり赤字も圧縮出来てきたと思います。私と氏家委員で話していたのが,今年で赤字を出来るだけ削減して,来年はプラマイゼロかちょっと黒字にしていって,来年給与カットを全くしないと断言はできませんが,2020年には絶対に辞めたいという方向を目指しております。

■佐藤副院長
劇薬だったので,現場に対する意識を非常に植えつけたと思います。

■鎌田委員長
それに向けて,具体的に数字が上がってくるという事はありますか。

■佐藤副院長
この間も経営状況の説明会をされまして,結構そういうのがモチベーションになっていくと思います。

■鎌田委員長
この間,全職員の方に経営について説明された時の状況や,皆さんの反応はどのような様子でしたか。

■森下委員
20%の資金不足比率ギリギリの所にいるのだという事は皆さん理解して頂けたと思います。それに対して赤字を少しでも減らしていかなくてはいけない。今,即効的に収益を増やす道は在院患者数を増やすことですが,それが一番即効性のあるものだと職員の皆様には理解して頂けたかと思うので,患者数465人を維持するよう全職員が協力してやってくれているのだろうと思っております。

■鎌田委員長
成瀬先生,給与カット,賞与カットしないために,その為に皆で向かっていこうと,そういったあたりはどうですか。

■成瀬副院長
給与カットというのは,例えば,看護職員や看護補助者であるとか,事務方だけでなく,医師全体に関してもかなりインパクトをもって受けいれられたと思います。やはり,大学から医師が派遣されるに際しても,こういった病院の経営状況等に関しては選択肢の一つとなります。そうした事を含めると,関連病院として派遣されている我々としては,責任をもってそういった病院経営状態を早く改革して,来たいと言う優秀な医師がちゃんと来ていただけるように,それが非常に大切な役割だと思っております。今は給与カットをなんとかというスローガンの下に,医師に関しては診療科によって無理して働いている部分があるので,それが本日のこうした資料に反映されていると思います。検査件数が増えていることなどに関してです。ただし,森下院長が言われたように,給与カットを止めて黒字を長く続けなければいけないことなので,その為には先ほどから議論になっている,無駄な業務の削減あるいは効率化をするためには何をしたら良いのか,氏家委員が言われたように,各部署からもう一度真剣に整理をしていくということが必要になるのではないかと思っております。

■鎌田委員長
そういった各部署から整理していくというのは,何か動き出させるという事は出来そうですか。

■成瀬副院長
例えば時間外勤務もそうですが,私は職場安全委員会というのをやらせていただいて,こうしたことは働き方改革に結びついてきます。各部署でアイディアを出していただいて,例えば有給休暇を取りやすくするなど,それが一つの業務改善の為のアイディアが出てくるかもしれない。各種委員会の発案,そうしたものも待ち受けられる。各部署で検討していただくのは勿論ですが,そうした全体の委員会での発案,そうしたものを大切にしながら考えていきたいと思っております。

■中西副院長
今,函病の緊急事態ですので,緊急事態を乗りきる為の劇薬的な,そういう処置は大事だと思いますし,それが功を奏して今の数字になっているのは事実です。ただやはり,黒字を長く続けなくてはいけない。長く続けるためのシステムを前もって考えなくてはいけないと思います。その為には,病棟だけじゃなく外来にも色々な部門で効率化,あるいは組織を見直すなど,そういった事を考えながらやって行かなくてはいけないと思います。もちろん器械等に関しても,短期的ではなく長期的に計画を立てながらバランスを取るという事が必要となってくるのかなと思います。

■鎌田委員長
10%を超えると設備投資の為の借入ができないとか。借入が出来ないと何か設備の為にしようとしてもリースに頼らざるを得ない。

■中西副院長
機器整備もやはり現場のモチベーションに関係しますし,患者さんの安全ですとか医療の質にも関係してきますので,今すぐどうにか出来るものではありませんが,今を何とか乗り切ってその先にある可能性というのを考えなくてはいけなと思います。

■鎌田委員長
その先の姿を見るという事ですね。これを頑張ってやり抜いたらどのようにたどり着くかという事ですね。

■中西副院長
それが一つの皆のモチベーションになってきてくれるといいなと。

■鎌田委員長
20%の問題というのは,市の方ではどうでしょうか,繰入金という事で毎年頂戴している額ですが,市の方の姿勢としては20%をクリア出来て黒字になれば,繰入金は出してくれる感じでしょうか。

■藤田委員
20%の部分というよりは,まずは単年度黒字化です。まず黒字化をして赤字幅を圧縮していくという姿が見えれば,市としても支援をしやすいところです。20%を超えそうなのでということで支援しても,すぐ20%を超えるという図式になってしまうと,支援の方も中々難しいということですので,まずは一番大きい函病の方で黒字化というところまで見えてくれば,市の方でもある程度の対応を考えてもらえるものと考えております。

■鎌田委員長
それぞれに立場や背景があって大変ですね。

■森下委員
先ほどの在院患者数が増えているということもあります。また入退院支援加算という新たな加算があり,それを先進的に行っている施設に中西副院長に見学しに行って来てもらい,そういうものを更に上乗せをして,少しでも収益を増やしていきたいと考えています。

■鎌田委員長
収益を増やして,ただし現場の皆さんの仕事を減らしながら,ということですね。一番人数的に多いのは看護師で,看護師の皆さんも少しずつ工夫して仕事に向かっていけるかどうかという辺りかと思いますが,そのあたり看護局長いかがでしょうか。

■益子看護局長
ボーナスカットといったところにかなりインパクトがあり,看護師からクレームが結構ありました。当初はそれに関して,これで看護師は多く辞めるよというような話もありましたが,例年どおり離職率に変わりなく,退職理由についても,ボーナスや給与が安くなったので辞めますといった看護師は一人もおりませんでした。つまり,残っている看護師方は病院をなんとか立て直そうという意識で頑張っていると自分は信じておりますし,いつかは給与が戻るといったところを目指して頑張っていると思っています。そういった意識を無くさないように,モチベーションを上げながらも,看護師が業務負担なく,労務を軽減しつつ努力していければなと思っております。

■鎌田委員長
今日のこの委員会の様子を見ると,委員会自体が座礁しかかっていると思われますよね。やっぱりそれだけの難問に直面しているという事が,この委員会では衝撃的でした。それはそれで素晴らしいことだと思います。問題は隠しても復活する。たくさん議論することによって,復活しないですむ方法を見つけられるかもしれない。

■氏家委員
皆さんに誤解されると困るのであえて言いますが,我々は一致団結してみなさんと方向を確認しつつ経営改善を進めています。バラバラの方向を向いているようなことはありません。それがないのでこのような結果が出ている。それを更に効率よく,皆が楽しく働くためのものを考えています。非常にいい方向に向いていると私は思っております。

■森下委員
私は,この難局の時期に院長職を拝命し非常にやりがいのある仕事だと思っております。

■鎌田委員長
色々な議論が出ましたけれども,伊藤委員いかがでしょうか。

■伊藤委員
非常に皆さんの熱意を感じるというか,ボーナスカットをする中で職員に対する責任感があり,非常に前向きな意見が出たと感じています。最近の医療情勢は,国のやり方が悪いと思っていますが,このような病院が90%以上の稼働率にならなければ成り立たないこと自体,日本の医療体制がおかしいと思っています。せいぜい85%で稼働していて,良い医療をやっていれば成り立つのが本来ではないのかなと思っております。その中で本当に最近思っているのは,この稼働率で,この単価を稼ぐのはもの凄く至難の業だと。ただどうしてもベッドが空いてしまうと,それが当たり前になってしまって,このようにきつくなってしまうと大変なことになります。人間は不思議なもので慣れてしまいます。本来看護師の定員というのはベッド数100に対する定員となっています。ですからそれが92や93になったからといって理屈では大変なわけではない。しかし,70で慣れている看護師には殺人的だと思います。それも今のこういう中で落ち着いてくるだろうと思っています。そういう意味で改善は進んでいくのではないかと思っています。
ただ私ども病院のユーザーからの要望なのですが,皆さんご存知のように昨今の医療というのは場合によっては優しくないと言われる存在。それはどこの病院もそうですが,老人が増えてきた。心臓が悪くて入院してきたが,ひざも痛い,腰も痛い。せっかく入院しているんだから治療をして欲しい,となります。ところが,心臓の治療で入院したので他の部位の治療をやると,やればやるほど損になるということで正直に言うとやりたくない。そんな中で患者にとっては不満が残って,それから急速に忙しくなると,ただでさえその忙しさに拘束されて,看護師その他の患者に対する対応が粗雑になってしまう。特に市立病院は,患者に対して優しくない,冷たいという批判が多く,そこら辺を改善していくのも大変な事だと思いますが,そこを職員が少し気に留めてこれからの改革の中に盛り込んでいただければと思っています。

■鎌田委員長
本当に現場の皆さん,ドクターや看護師は大変かと思いますが,少しずつ改善していけばと思います。氏家委員,最後にお願いいたします。

■氏家委員
本当にありがとうございます。色々な意見をいただきながら,我々の方向性を確認していきたいと思っておりましたが,今日も我々の方向性自体は間違っていないのではないかと。ただその中で,患者さんに対して優しく,また関連病院と連携を取りまして,院長,副院長と一緒に考えていっておりますので,よい病院になるようにしていきたいと思います。事務方から今年は3億位の赤字じゃないか,という事でしたが,森下院長と私自身は心の底ではプラスマイナスゼロ位になりたいなという事を考えておりますので,皆そのような勢いでやっているということをご理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。

■鎌田委員長
皆さん本当に本日はありがとうございました。

□熊木経理課長
ありがとうございました。次回の委員会は30年度の第三四半期の事業実績等を議題といたしまして,2月の開催を予定しておりますが,皆さんには改めましてご案内させていただきたいと存じます。
以上をもちまして本日の委員会を終了させていただきます。誠にありがとうございました。


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