病院局トップ病院事業経営改革評価委員会開催状況>R1第4回議事概要

令和元年度(2019年度) 第4回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:令和2年(2020年)2月17日(月) 17:00~18:00
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
     氏家委員,森下委員,川﨑委員,加藤委員,藤田委員
■オブザーバー:市立函館病院 佐藤副院長,成瀬副院長,中西副院長
        益子看護局長
■事務局:桐澤管理部次長,本間庶務課長,熊木経理課長,
     大吉医事課長,崎野医療連携課長,船木医療情報企画課長,
     野呂恵山病院事務長,佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
ただ今より令和元年度第4回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。な
お,斉藤委員は本日所用により欠席となっております。
それでは,本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,議事の進行をよろしくお
願いいたします。

2,議 事

■鎌田委員長
事務局から第3四半期の報告をお願いいたします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・令和元年度函館市病院事業の事業実績(12月末)

■鎌田委員長
引き続き令和元年度2月補正予算と2年度当初予算案について説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・令和元年度2月補正予算と2年度当初予算案について

■鎌田委員長
令和2年度の予算は,函館病院が単年度で1億の黒字を見込んでいますが,その中で具体
的な取り組みについて説明をお願いします。

□熊木経理課長説明
前回までの委員会で,森下委員等からお話を頂いておりました函館病院での最近の取り
組みについてご説明させていただきます。
1つ目は,総合入院体制加算2および認知症ケア加算1の取得についてですが,当院の看
護師が所定の研修を終えたことにより,1月から算定開始となりました。これにより,1か
月あたり約500万円の増収が見込まれております。
2つ目は,入退院支援加算1および入院時支援加算による増収についてですが,昨年医師
の控え室である医局を移転し,その場所で6月から患者サポートセンターを開設したこと
により,7月以降は平均で1か月当たり約440万円の増収となっております。
3つ目は,クリニカルパスの見直しです。クリニカルパスとは,医療の内容を標準化し,
入院中の予定をスケジュール表のようにまとめた入院診療計画書です。医療の安全や質の
向上,業務の効率化が図られるほか,在院日数の適正化や,他院に比べ薬品等の医療資源
の投入量が多い傾向にあることから,医療資源の適正使用も見込まれるものです。現在の
状況としましては,昨年7月からパス専任の職員を配置したことにより,パスの件数は去
年4月の178件から,12月には217件に増加しているほか,既存のパスの見直し等にも努め
ております。
最後にフォーミュラリーの作成です。フォーミュラリーは医薬品の医学的妥当性や経済
性を踏まえ,病院内で作成する医薬品の使用指針です。同じ効能,効果を持つ医薬品が複
数ある場合,この指針に基づいて医薬品を選択することで,医薬品の適正使用や後発品の
使用促進が図られるため,薬剤費の削減も期待できます。現在の状況としましては,昨年
7月のプロトンポンプ阻害薬,胃酸の分泌を抑制する薬を手始めに,6種類の薬品において
フォーミュラリーを適用しており,今後,他の薬剤にも拡大したいと考えております。

■鎌田委員長
今年度の決算見込みと新年度の予算,函館病院の最近の取り組みについて説明していた
だきました。氏家委員,お願いします。

■氏家委員
12月までの事業実績の報告でしたが,1月,2月も非常に頑張っております。単年度資金
収支では12月末時点で0.5億円の赤字の見込みですが,もう少し改善されて,おそらくプ
ラスマイナス0くらいまで行くのではないかと思っています。しかし,コロナウイルスの
問題が出てきており,その動きがどうなるか分かりませんが,それが無ければ予想通りに
行くと思います。昨年度は賞与カットした上での約7,800万円の黒字でしたが,今年は去
年と比べ3億近くプラスになっていますので改善されていると思います。
恵山,南茅部病院に関しては,人口減少や社会の流れがあるので,来年度の方向性を見
て病院のあり方を考えて行きたいと思います。以前はそれぞれの病院がバラバラでしたが,
連携をとり情報交換しながらやっていこうと考えています。

■鎌田委員長
ありがとうございます。数字で確認しますと,去年の単年度資金収支がプラス7,800万
円ですが,この中には2億5千万円の期末勤勉手当削減の影響額が入っている。それを今年
度は通常通り支払っているので,7,800万円から2億5千万円を引けばマイナス1億7千万円
くらいになるが,黒字が見えてきたというところでしょうか。
函館病院について佐藤副院長からコメントをお願いします。

□佐藤副院長
クリニカルパス委員会の具体的な例を上げて説明します。循環器内科の場合ですが,従
来はCAG(冠動脈造影)とPCI(冠動脈インターベンション)という検査と治療を1回
の入院で行うパスを作っていました。治療については診療報酬が算定できますが,検査は
算定できません。造影で使用するプレッシャーワイヤーという道具があるのですが,高額
の病院負担になってしまいます。このパスでは他病院と比較すると検査が過剰な状態にな
っています。これをCAGパスとPCIパスに分け,循環器内科の医師とミーティングを
行い,どの検査が過剰になっているか,どの材料にお金がかかっているかを説明しました。
その結果,心筋梗塞など別の疾患にも効果が出るようなので,今後も介入していきます。
また,パスの適用率が40%程なので,増やすことで薬剤材料費をもっと下げられると考え
ています。
もう1つ,病棟業務削減ワーキンググループで持参薬の処方について検討しました。従
来は今まで飲んでいた薬を持参していただいたのですが,大量に薬がある場合,仕分けを
する病棟看護師の業務負担が大きかった。これを軽くするため,11月から2泊3日以上の予
定入院患者さんは入院前に1包化して処方することをルール化し,業務の軽減を図りまし
た。しかし,医師が入力しなければならず,漏れてしまうことがあるので,3月から薬剤
師が代行入力を行い,医師の負担を軽減することにしました。入院患者さんの3割から4割
はこれでいけるだろうと思います。
色々な取り組みがあるので,これでどのくらい時間外が減るかわかりませんが,このよ
うな取り組みを行っております。

■鎌田委員長
標準化の一例ということですね。

□佐藤副院長
何が過剰になっているか,無駄なものがあるかの説明をすると,現場は理解してくれま
す。

■氏家委員
今まで無頓着だったわけではありませんが,以前と変わったのは事務部門と医療者側が
話し合い,情報交換出来る土壌が出来たことです。医師がやることだから,ということで
遠慮することが多かったと思います。医師も忙しい中で決して悪気があってやっているわ
けではなく,気づかなかったことを気づかせてもらえるので非常に協力的であることが分
かりました。
他に,成瀬副院長は労務管理で,有給休暇を取得させなければなりませんので,これを
やっています。中西副院長は,それ以外の多くの役割を担ってもらっています。

□成瀬副院長
私は産業医をしておりますので,働き方改革に関しての取り組みをしております。当院
の時間外勤務に関して,医師以外の職種は,概ね月30時間以内になっています。医師に関
しては,年末から年始にかけて満床に近い状況で病院運営をしておりますので,時間外勤
務が長くなる傾向にあります。70時間を超えて時間外勤務されている方が約50%いるのが
現状です。これまでは,勤怠管理が出来ていなかったため,今年度はICカードを導入し
て勤務時間内での終業を強く意識してもらう取り組みを始めています。
医師の時間外勤務に関しては,患者さんの診療に関わる時間外が多いのですが,中には
自己研鑽あるいは事務処理といった内容があります。時間外勤務の内容を記載してもらい,
内容を把握することを始めています。本来,時間外勤務は上司からの命令があって行われ
るものですが,これからの取り組みとして患者さんの診療以外の自己研鑽や事務処理につ
いては,その意図と必要性を提出し承認を得て時間外をしていただくことで,時間外勤務
に関する病院としての考え方を周知していくことも大事だと思っています。
次に,有給休暇に関して5日間の取得が昨年4月から義務化されています。職員について
は権利である夏休み3日,義務免除2日,有給休暇5日を取っていただきたいのですが難し
い状況にあります。医師に関しましては,診療科単位で出来るだけチーム医療を実施して
業務の効率化を図り,診療に支障がない形で有給休暇を取得するように,職場安全衛生委
員会で議論しお願いしているところです。各部署で有給休暇取得の予定について話し合っ
て,計画を出してもらい3月末までに職員全員が有給休暇を5日取得できるように取り組ん
でいます。

■鎌田委員長
医師も看護師も入院患者数が増えている状況で大変忙しいと思いますが,記載するのは
大変なのでは。

□成瀬副院長
先程出ましたパスによる業務の合理化や,中西副院長や看護局長から引継などの余分な
業務を削減する話が出ていますので,それらと合わせて時間外の短縮と有給休暇の取得が
必要になってきます。働き方改革のうえで,必ず実践しなければならない,準備しなけれ
ばならないという周知を含めてやっています。

■鎌田委員長
業務の削減をしてまわしていくということですね。

□中西副院長
経営的な側面と業務改善の側面で両方上手くいっているものをお話します。患者サポー
トセンターですが,去年の6月に引越しをして,看護局,医療連携課,薬局,栄養管理な
どのスタッフを一箇所にそろえて,患者さんがそこに来れば入院する段階で必要な全ての
説明,あるいは入院の準備が出来るという部署を作りました。具体的には,入院が決まっ
た患者さんがそこを訪れると,入院支援の看護師が話を聞きます。その時に入院に必要な
ものや退院後のことなどのオリエンテーションを行います。そのほか,入院前や入院中に
行う検査の説明や段取りをしたり,手術の患者さんであれば麻酔科を受診してもらうので
すが,現在は入院前や入院当日に受診するようにして工夫しています。それと同時に患者
さんの情報を電子カルテの決まったフォーマットに打ち込みます。また,1人暮らしなど
で,退院後,自宅に帰るのが困難な患者さんの場合には,早期のうちから医療連携課が対
応し,他の病院でリハビリをするとか,訪問看護を利用するなどの段取りをするようにし
ています。また,薬局が持参薬の整理をして電子カルテに情報を入力しています。これら
の情報を基に入院前や入院時に処方をすることなどで業務改善をしています。
これらのオリエンテーションや検査説明,他科受診はセンターが出来るまでは病棟で本
人やご家族に説明していましたが,現在は入院前に行っていますので,病棟でしなくてい
いことになります。また,データベースがしっかりしていますので情報が共有されて,医
療安全の面からも推奨されることになります。
これらの業務改善の一方で,収益はどうかというと,これにより入退院支援加算と入院
時支援加算が取れて,当初は400万から450万円くらいの予想でしたが,入院患者数が多く
なっているため500万を超え600万円近くまで加算が取れています。業務改善にメリットが
あり,経営にもメリットがあるということで,ひとつの取り組みとしては良い例かと思い
ます。

■鎌田委員長
これまでの話から,森下委員お願いします。

■森下委員
我々の病院は約千数百名が働いていて,医師は100人ほどです。医師以外の残りの職員
の力をどれだけ伸ばしていけるかが,病院にとって大きいところだと思います。副院長か
らの説明では医師だけではなく,薬剤師や看護師など色々な職種の名前が出てきました。
このチーム医療の充実が業績を伸ばしている大きな原因のひとつだと思います。10月から
新規入院患者数が前年度に比べ5%ほど増えています。通常ではありえない伸び方ですが,
これも職員が一丸となっていることで,色々なところでのイメージがアップしてくれてい
るのだろうと思っています。

■鎌田委員長
医療面でも皆さんの働きからも大変成果があったということが伝わってきます。結果も
良い数字が出ているということですが,現場の皆さんが大変ではないかと思います。色々
な改革を推し進める過程で業務量が増えることがありますが,その辺はいかがですか。

■森下委員
看護師数,それとベッド数を増やすことを考えています。去年,ベッドを10床増やしま
したが,それでもあふれている患者さんがいます。それを入院として受け入れていくには
さらなる検討が必要であると考えています。
また,これまで慣習的に行っていたことが本当に必要なのかということも洗い出したい
と思います。何年間も食事のときにお茶を配っていたのですが,思い切って止めました。
苦情が出るかと思いましたが,誰からも苦情が出ません。こういったことを進めて行きた
いと思っています。若い方や新しい人たちの意見を多く吸い上げていけば,もっと仕事に
余裕ができるかと思います。
病院には多職種の人がいますので,その人たちと一緒に病院の改善を行っていきたいと
考えています。

■鎌田委員長
具体的な改善や活動の内容でしたが,これまでの話から伊藤委員いかがでしょうか。

■伊藤委員
数年前は改革しようとして空回りしていたようだが,今の森下委員の話を聞いて,看護
師を中心として経営参画を積極的にする方向になりつつあるし,非常にすばらしいと思い
ます。

■鎌田委員長
伊藤委員からご覧になって,このように改善していくと膠着するかもしれない課題はあ
るのでしょうか。

■伊藤委員
急性期病院は頑張れば頑張るほど赤字になる制度なので,とにかくベッド稼働率を100
%に近づけることが出来るかどうかです。療養はベッドが埋まっていれば今の日本の制度
では利益が出ます。急性期はそうはいきません。先程,たくさん患者を断っていて,ベッ
ドを増やすという話がありましたが,数年前から比べると非常にすばらしい改善がされて
いると思います。この意識で持って行っていただきたい。
今回の診療報酬改定で2,000台以上の救急車を受入れる病院の診療報酬が5,200円上がり
ますが,細かいところが見えないのでどのくらい増収になるか。

■氏家委員
今回の診療報酬改定ではトータルで0.46%下がることになっていますが,函館病院は急
性期をやっているので,非常に手厚くなっています。やるべきことをきちんとやっていけ
ば結果がついてくると思います。
先程,伊藤委員が言われたとおり,我々の病院は稼働率が95%くらいであればいっぱい
だから,早く退院させたり,断ったりしていますが,もし災害が起こったらどうするのか
と言っています。 その時に,1日,2日くらいは拡大しなければならない。これがずっと
続いたら恒常的に人を増やし,ベッドを増やさなければなりませんが,こういうことが月
に1回,年に3,4回あるようであれば頑張って乗りきらないと,恒常的な黒字にはならない
という話をしています。ただ,看護師を増やさない中で,2年前より数億円改善しました。
これはひとえに職員,特に看護職員が頑張ってくれましたので,人数を見直さなければな
らないと話しています。

■鎌田委員長
高橋委員,いかがでしょう。

■高橋委員
質問ですが,ICTを上手く使うという話で,個別の業務を効率化するのもひとつです
が,全体を見て流れるような取り組みが必要だと思うのですが,システムを上手く病院の
中に取り入れるなど,全体的な観点から何か検討されているのでしょうか。

□中西副院長
今おっしゃったことは,まさにパスのことだと思います。入院してから退院するまでの
工程の中で整理された治療方針で,必要かつ十分な医療資源を投入するためのプランニン
グがされています。その前後で必要な書類などが簡素化されていますので,これを上手く
活用した方がいいというお話かと思います。それぞれの場所を簡素化するということでは,
看護局がデバイスを工夫しながらやっています。

■高橋委員
労務管理の件について,時間外の管理は本人に申請してもらうとのことですが,相当強
制力を働かせないと上手くいかないような気がします。企業ではそのようなことをやって
いないので。制度の問題があるかもしれませんが,勤務の仕方を変えたほうがいいのでは。
例えば,医師には適用できないと聞いていますが裁量労働制とか高プロとか。

■氏家委員
医師の働き方については非常に難しい面があります。ひとつは,仕事が忙しくて時間外
をしなければいけないということ。それによって収益が生まれ,自分の収入にもなります。
裁量労働制による年俸で,その中でこのくらいの仕事をしてくださいというのが一番いい
と思いますが,どのくらいの業務量が出来るのかという難しい面があります。少なくとも
2年前までは,この人は何時から何時まで病院にいたか分かりませんでした。また,今ま
では,病院にいたら時間外になっていました。患者さんの診療での時間外もありますが,
自分で色々なものを調べる,というようなことも時間外になっていたので整理しました。
給料を惜しんでいるわけではなく,どのくらい働いていて,どのくらい大変な思いをして
いるかを知らなければならないということで,自分で出してもらうことにしています。厳
密に何時から何時まで働いたかというよりは,医師のモラルに基づいてしっかりとやって
行きたいと思っています。

□成瀬副院長
今のお話のとおり,診療に関する業務は認められなければなりませんが,自己研鑽や新
しい技術や新しい知識を取得するなど,直接患者さんに関わらないこともやっていかなけ
ればなりません。時間外勤務は上司の命令によって行うもので,自発的な自己研鑽もすべ
て時間外として受け入れられるかというと溝があります。そのような中で,昨年4月1日の
厚労省の考え方によると,上司の命令として出したものは時間外と認めるとされています
ので,それを踏まえて研鑽領域は長い時間の勤務を占めているわけではありませんが,時
間外勤務に関する考え方をきちんと持ってもらいたいという意味合いでの取り組みと考え
ていただければと思います。

■伊藤委員
医師の時間外の問題は本当に大変だと思います。私も市立病院に10年いて,当時市内に
脳外科が無い状態なので,実質の時間外は200時間くらいあったと思います。その中から
なんとか60時間から100時間に収めるくらいに削る苦労をした覚えがあります。そのくら
い忙しい科がたぶんあるのだと思います。今お話しがあったように,研鑽との区別は本当
に難しい。仕事を終わったら白衣から私服に着替えて,そこからは私的時間だというわけ
のわからない,そんなことが実現可能かという笑い話がありました。ただ,時間外は難し
くて,私の時もそうでしたが,手術を夜中にやり,患者さんが心配だから術後2時間待機
していた。これは時間外なのかどうかは異論があるところで,本来時間外と認めるべきで
すが,そうすると手当が増えていきます。また,看護師が問題で,例えば8時30分から診
療だとすると,7時くらいに早く来る。これは非常に問題になっていて,当院では始業30
分前には来るなと指導を目下始めているところです。仕事をした後,来院した後いろんな
部署で自分のネームカードでチェックできるようにしています。特に,早く来ないように,
また,仕事は5時で終わるので,4時30分までに自分の仕事を終えて,やり残した分を整理
するように言っています。そうすると遅くとも5時や5時30分には帰れるだろうという取り
組みをしています。毎日の繰り返しの中で本人ならびに家族への過剰負担にならないよう
なことをこれからやっていくべきだということで始めました。

■森下委員
伊藤委員のおっしゃるとおりなのですが,長い間の慣習なので,一朝一夕には変えるこ
とは出来ないと思います。しかし,そのような方向に変える必要があります。医師に関し
ては,同じように働いていても,例えば私は外科医なので手術をしている時は1時間でも
それほど負担ではありませんが,書類を1時間書くとなると3時間くらいの負担感になりま
す。書類やカルテを書くことは,医療クラークという職種がありますので,上手に教育し
てカルテなどを代筆してもらったり,簡単な検査の説明もやってもらう方向に進めたいと
考えております。さらに,退院時サマリという書類があるのですが,各科バラバラだった
のを,書式を統一化することによって,これも医療クラークが書けないかを検討していま
す。

■伊藤委員
すごく大事なことだと思います。統一化が良いことで,私も「このように書くから」と
教えます。それを何回かやって覚える。書いてもらってチェックする。今はパソコンの画
面に出てくるので簡単ですが,自分が書くよりも3分の1以下の労力で書類が出来上がりま
す。ただ,他の医師に言うのですが,医療クラークやそばにいる人間を指導しようとする
ことがおっくうでしない。しかし森下委員がおっしゃたように,それを徹底していきサポ
ート係とかにやらせていくことが経営にとって非常に大事なことだと思います。

■鎌田委員長
現場で仕事が減っているという印象はありますか。何より心配なのは,これだけいい成
績が出ているので,現場の負担が増えていると思います。色々取り組んでいると思います
が,公立病院で長年の歴史がある病院ですから,手続きや紙での処理など,要らないんじ
ゃないかということもあると思いますが。

■氏家委員
本当に細かいことではありますが,医師以外の職種の時間外が減っています。強制的に
減らしているわけではなく,効率化です。医師の仕事が忙しいだけに,医師の指示が夕方
に出るため看護師は残っていなくてはならない。それをとにかく日勤中に出させると,時
間外が減っていきます。ただ,医師の時間外が減っていなくてどちらかというと増えてい
ます。それらについて力を入れて改善していこうと思っています。

■鎌田委員長
時間外や労務管理というと管理部門の役割が大きいと思いますが,そのような中で事務
局どうですか。

□桐澤管理部次長
時間外についてお示しすれば,医師は先程成瀬副院長からありましたとおり,70時間を
超えています。事務であれば平成30年度が21時間くらいあったのが,今年度は20時間を下
回っている状態で着実に減ってきていると思っております。

■森下委員
医師の時間外に関しては,主治医制が大きな壁になっています。一人のお医者さんが患
者さんを常に診ており,そこが非効率的な原因となります。何とかチーム制にしたいので
すが,そのためには患者さんのご理解も必要となります。調子が悪くなった時に「なぜい
つも自分を診てくれる医師が来てくれないのか」と言われることがあるのでなかなか出来
ない。せめて休日だけでもチーム制にすることが私達の次の目標となっています。

■鎌田委員長
主治医に診療してもらいたいという患者さんも多いでしょうが,個人名を冠した私立病
院に比べれば,そういう要望は少ないかもしれない。

□成瀬副院長
具体的にどうすればチーム制に移行できるかを模索している最中ですが,今後働き方改
革によってインターバルの問題や,有給休暇を取得するに際して,互いを補わないと働き
方改革に病院の医師職として対応していくことが出来ないのではないかと考えております
ので,少しずつ知恵を絞って相談をしながら,チーム制への移行を早急に考えていかなく
てはならないと思っております。

■鎌田委員長
熊谷委員のご意見をお願いします。

■熊谷委員
チーム制への移行は出来るのではないかと感じていますが,全国的に医師が不足してい
る中で,穴があいた医師をどう確保するのか,また現状の医師の中で回すと最終的には過
重労働になり時間外勤務の形になるのではないかという思いがあります。そのあたりを確
保していかないとなかなかクリニカルパスの有効利用にはならないと感じますがどうでし
ょうか。

□佐藤副院長
そこまで深く考えていませんでしたが,パスは標準化が前提なので,パスさえ作ればす
べて済むかといえばそうではなくて,やはり医師と看護師のチームがきちんとしていない
と進みません。きちんとした知識があって技術がないと進まないのが現実です。パスは作
って動かしていますが,どの病棟でもパスが進むかといえばそうではなく,専門職を入れ
て動かさざるを得ない状況ですので,チーム制に関してはハードルが高いと思います。し
かし,チーム制は必要だと考えています。

■熊谷委員
あとは,患者さんの理解をどう得るかだと思います。主治医がいないときは他の医師で
もやむを得ないということを,患者の立場からも私は理解できると考えています。きちん
と説明していけばいいと思います。

■森下委員
休日に熱が出るなどした場合は,交代で来ている医師が診察するあたりから導入するこ
とが第一歩かと考えています。

■熊谷委員
先程から出ている診療報酬の改定で,5,200円の加算がありますが,函館病院では救急
車とドクターヘリの受入れはどのくらいあるのでしょうか。報道によれば,年2,000件以
上であれば加算されるとありましたが。

□本間庶務課長
救急車につきましては年間5,000件以上,ドクターヘリにつきましては,函館病院での
受入れは平成30年度で出動件数428件中の 221件,令和元年度は1月現在で360件中163件と
なっております。合計で5,500件前後となっております。

■森下委員
昨年2019年は救急車とドクターヘリを合わせて5,800件ほどです。

■熊谷委員
南茅部にも年に2,3回飛んで来ますが,すごい数ですね。5,200円の診療報酬について
は新年度の予算に入っているのでしょうか。

■森下谷委員
詳細が分かっていないためまだ反映させていません。働き方改革でインターバルを設け
なければならないとか,当直明けは働かせるなだとか,色々な要件がありますが,まだ漠
然とした段階です。

■熊谷委員
国の考え方と現場との矛盾がかなりあるのかと思います。

■森下委員
働き方改革が先に出来て,これでやると24時間365日の救急を今の人員でやっていくこ
とは不可能です。そのために,人件費に充当する形で作ったというのがこの5,200円の趣
旨ですが,それで十分かはまだわかりません。

■氏家委員
働き方改革は,函館病院の規模だと色々考えられるが,恵山・南茅部の医師がどうかと
いうと,非常に大変だと思います。民間のそれほど大きくない病院でも,そんなことは不
可能というところが多いと思いますので,こういうことを考えられるところは考えてくだ
さいという方向になっていると思います。

■鎌田委員長
川﨑委員いかがですか。

■川﨑委員
函館病院とは抱える問題が違いますので,医師の働き方改革についてもやっている中身
が違います。求められている医療も函館病院と地域の病院では違います。
恵山病院は40床で運用していますが,来年度から47床で運用することにして,経営改善
出来ればと考えています。そこまで医療需要があるかというと,地域の人口が減っている
状況はありますが,40床で運用すると感染症対策や,認知症などで40床全部を使えるわけ
ではありませんので,38床くらいで運用しています。そのため,設備的な部分を整備して
47床にします。
地域別の患者数が変わっていて,5年前は45~46人のうち旧函館市が20人くらい,恵山
が20人くらい,残りはその他という内訳でしたが,最近は38人のうち旧函館市が5~6人,
恵山が15~16人,残りは恵山以外の旧4町村の方です。恵山地域以外の椴法華などの患者
さんを受け入れるようになってきています。恵山の療養型病院ではなく,旧4町村の地域
の医療需要に応える役割になったのかと思います。外来に関してもほとんど恵山地域だけ
でしたが,椴法華の患者さんが増えてきています。恵山地域の人口は減っていますが,入
院も外来も変わっていません。
療養型病院の役割は,急性期と全く違う役割として,看取りの場を提供する役割があり
ます。在宅看取りをやっていなければ全て救急病院に搬送されます。これだと,消防も救
急病院もパンクします。外来で診療する中で,80歳代や90歳代で心不全や誤嚥性肺炎など
でお迎えが近いと思われる方は,あらかじめ恵山病院に入院してもらって看取るというよ
うな役割を担わなければならないと思っています。

■鎌田委員長
療養型ならではの役割ですね。
加藤委員,いかがでしょうか。

■加藤委員
南茅部は一般と療養がありますが,一般は去年より増えていますが10対1から15対1にな
り,単価が去年と比べて3,000円くらい落ちています。逆に療養は特養の受け入れがかな
り進んでいるため減っており,現在は10名しかおりません。それであれば,15対1の一般
に持っていく方がいいのか,それとも一般の在院日数を25日から24日にして13対1の一般
プラス療養とする方がいいのか,どちらがいいのか検討しています。
南茅部で診きれない患者さんを函館病院ファーストでお願いしていますが,最近は満床
の状態が多くて断られることも多くなっています。
現在,常勤医が2人しかいなく,ほかに非常勤が1人で日曜日に来て木曜日に帰るという
状況なので,函館病院から何とか支援してもらって,木曜日の午後と金曜日は成瀬副院長
に月2回来てもらって何とか回っています。常勤医をもう1人ということで大学にお願いし
たいと思います。

■鎌田委員長
氏家委員,今の話を聞いていかがですか。

■氏家委員
南茅部は札幌医大の第1内科に地域医療を担ってもらっています。今後も担っていただ
けるかということも含めて考えて行きたいと思います。また,南茅部病院自体が耐震構造
などで改築しなければなりませんので,どのくらいの入院施設が必要なのかということも
この1年,2年で考えて,住民の方の意向を踏まえて新しい病院のあり方を事務方で検討し
て,熊谷委員にもお話ししたいと思っています。

■鎌田委員長
改築という話がありましたが,病院局全体がどうなるかということもありますが。

■氏家委員
3つのそれぞれ違う病院があり,函病には多くの医師を各大学医局から出していただい
ておりますが,それは3つの病院に出していて,病院局に来る医師も得るものがありなが
ら,地域にとって良い病院になればいいと考えています。独立してやるよりは,ある程度
関連してやっていく。そのひとつとして,看護師は少し交流しています。4月以降はリハ
ビリなども足りないところに派遣することを考えています。ただ,働く人たちの意見や,
派遣されている大学の意向もありますので,話し合いながらやって行きたいと思っていま
す。

■鎌田委員長
黒字が見えてきたのは大変な成果だと思います。それとともに次なるステップ,恵山,
南茅部を含めてどういう方向に進むかだと思います。
最後に氏家委員,お願いします。

■氏家委員
皆さんの意見を参考にしながら,また,我々の中でも意見を交換しながら,今年度は
9ヶ月くらい経ちますが黒字の目処が付いてきました。今後は市とも話し合いながら病院
局としてどのようなデザインでやっていくかを考えて行きたいと思います。
また,IT化も非常に大事だと思っていますので,ぜひ未来大学と常時ディスカッショ
ンしながら,アイデアを生かせるように出来ればいいと思います。毎年,学生が作る研究
発表を聞かせてもらって,すごくいいと思っていますが,それらが続いて形になればお互
いにとって良いのではないかと思っていますので,よろしくお願いします。

■鎌田委員長
未来大学にとっても医療分野は重点分野だと思います。ぜひ連携が出来ればいいと思い
ます。
今日はありがとうございました。

□熊木経理課長
ありがとうございました。次回の委員会は令和元年度の決算見込みを議題といたしまし
て,6月の開催を予定しておりますが,皆さんには改めましてご案内させていただきたい
と存じます。
以上をもちまして本日の委員会を終了させていただきます。誠にありがとうございまし
た。


Copyright (C) 2013 hakodateshibyoinkyoku