乳がん検診について
日本では乳がんにかかる人が、食生活の欧米化などにより、年々増加傾向にあります。現在、我が国では年間9万人の女性が乳がんにかかると推計されており、今後もこの傾向は続くものと予想されます。
乳がんは、発見されたときの進行度によりその治療成績が左右されます。検診で見つかったしこりの触れない早期乳がんでは100%近い生存率が期待できますが、進行がんで発見されると生存率は70%程度となります。すなわち、一般のがんと同じように乳がんにおいても、早期発見は非常に大切なことです。
日本では昭和62年から視触診による乳がん検診が開始されましたが、乳がん死亡を減少させるという結果は認められませんでした。それに対して、しこりとして触る前の早期乳癌を発見できるマンモグラフィーは欧米での乳がん死亡を20〜30%減少させたという報告がされています。これをうけて、日本でも平成12年より、マンモグラフィーを検診に導入するよう提言され、マンモグラフィーと視触診による検診が行われるようになりました。
その後、乳がん検診の方法と乳がんで亡くなる方に関して調査研究が続けられておりましたが、マンモグラフィー単独の場合と視触診を併用した場合で、死亡率に大きな差異は認められないとの報告がなされました。
この報告を受けて、国はマンモグラフィー単独検診を原則とするようガイドラインを改定し、平成28年に各自治体に通達が出されました。
当院でも、以前より視触診とマンモグラフィーを併用した検診に取り組んでいましたが、 ガイドラインに準拠して平成28年度よりマンモグラフィー単独検診を基本に、希望者に追加検診(有料)として視触診を行う体制としました。
乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つです。まず、自己検診が大事で、月に一度は自己検診を行って下さい。そこで、異常を感じた場合は、検診を待たずに、直接乳腺専門の医療機関で精密検査を受けて下さい。自己検診で異常がなかった人は定期的に乳がん検診を受診して下さい。
欧米では2年1回の割合でマンモグラフィー検診を受ける人が70%に達しており、乳がんになる人は増えていますが、乳がんで死亡する人は減少しています。