前立腺肥大症の新しい治療法「WAVE」
当院の泌尿器科では、尿路性器悪性腫瘍、腎不全、排尿障害、尿路結石、尿路感染症などを主に診療しています。
今回は、2024年12月より当院で開始した前立腺肥大症の新しい治療法である「WAVE(Water Vapor Energy Therapy;経尿道的水蒸気治療)」についてご説明します。
前立腺肥大症とは?
前立腺肥大症は、中高年の男性に多い病気です。前立腺が肥大して尿道が圧迫され、尿が出にくくなるなどの症状が出ます。頻尿、残尿感、尿の勢いが弱い、夜間頻尿などが代表的な症状であり、原因は加齢や男性ホルモンの影響などが考えられています。

WAVE治療とは?
WAVE治療は、水蒸気の熱エネルギーを利用して肥大した前立腺組織を縮小させる治療法です。尿道から専用の機器を挿入し、103℃の高温の蒸気を注入します。水蒸気は前立腺組織を壊死させ、過剰に増殖した前立腺組織を縮小させ、尿道の圧迫を軽減します。
この治療は、尿道から機器を挿入し水蒸気を注入するだけなので、体に負担が少ない低侵襲な手術です。手術時間は約10分と短いため、1泊2日の短期入院で済みます。
ただし、施行直後は前立腺がむくんで一時的に排尿しづらくなるため、尿道カテーテルを留置したまま退院となります。カテーテルは退院1週間後の外来で抜去します。効果には個人差がありますが、術後1週間程度で排尿が可能となる方が多いです。
従来の前立腺肥大症に対する温熱療法と比較して、水蒸気は対流によってムラなく患部に到達するため、均一な治療効果が期待できます。また、尿道粘膜や性機能への影響を抑えることも可能です。

WAVE治療は、全ての患者さんに適応できるわけではありませんので、詳しくは泌尿器科へご相談ください。