チーム医療

チーム医療

Team medical

一人の患者さんに、複数の医療専門職が連携して治療やケアに当たります。

認知症ケアチーム

対象

  • 認知機能の低下により、入院中の治療や検査への理解や判断が難しい方
  • 認知症に伴う行動・心理症状が見られ、治療への影響が懸念される方
  • 日常生活に介助が必要な中等度以上の認知症の方(日常生活自立度ランクIII以上)

  ※意識障害が重い方は対象外となります。

チームの目的

認知症の専門知識と技術を持つ多職種チームが、患者さんを担当する医師や看護師と協力して、認知機能の低下やBPSDの悪化を予防し、身体疾患の治療をスムーズに進めることを目的としています。

チームメンバー

精神科医師(認知症専門医)、認知症看護認定看護師、精神保健福祉士、公認心理師、看護管理職、事務管理職

活動内容・特徴

  • カンファレンス・ラウンド
    毎週火曜日と木曜日に、チームで患者様の状態を確認し、ケア方針を検討します。必要に応じて、病棟スタッフへの助言や指導も行います。
  • 個別支援
    患者様やご家族への心理教育、服薬指導、生活支援(退院支援を含む)など、個別のニーズに合わせた支援を行います。
  • 院内研修
    年に1回以上、全職員を対象とした認知症に関する研修会を開催し、院内全体の認知症ケアの質向上に努めています。
  • 担当医・看護師との連携
    病棟の看護師は、チームラウンド時に患者様の状態をチームと共有し、カンファレンスを行います。

当院では、認知症ケアチームを中心とした質の高いケアを提供することで、患者さんが安心して治療に専念できるよう努めています。

リエゾンチーム

対象

身体の病気で入院されている患者さんのうち、不安や抑うつ、混乱などの精神的な症状によって、治療への影響が懸念される方が対象です。

※ 認知症の患者さんは、基本的に認知症ケアチームが対応いたしますが、症状によってはリエゾンチームが連携する場合もあります。

チームの目的

精神的な症状によって身体の治療がスムーズに進まないことを防ぎ、患者さんが安心して治療を受けられるようにサポートすることを目的としています。 多職種の専門スタッフが、患者さんやご家族、そして主治医や病棟看護師などの医療チームと協力して、より良い治療環境を目指します。

チームメンバー

精神科医師、精神保健福祉士、公認心理師、認知症看護認定看護師

活動内容・特徴

  • 緊急性の高い患者さんの対応をスムーズに行うため、毎日カンファレンスを実施しています。
  • 患者さん一人ひとりに合わせた心理療法や生活支援、お薬の指導などを行います。
  • ご家族からのご相談にも応じます。
  • 医師や看護師と連携し、チームで患者さんをサポートします。
  • 職員の研修を通して、質の高いケアを提供できるよう努めています。

当院では、患者さんが安心して身体の治療に専念できるよう、リエゾンチームが活動しています。

身体的拘束最小化チーム

対象

  • 身体的拘束を受けている患者さん
  • 身体的拘束が必要か検討されている患者さん
  • 身体的拘束以外の行動制限を受けている患者さん
  • 身体的拘束に関わる職員全員も対象です。

チームの目的

身体的拘束は、患者さんの安全を守る上で時に必要なこともありますが、できる限り行わないことが望ましいと考えています。このチームの目的は、身体的拘束が本当に必要かどうかを慎重に判断し、患者さんの人権と安全の両方を守ることです。
また、身体的拘束に関わる職員の負担を軽減し、安心して仕事に取り組めるようにすることも目指しています。

チームメンバー

リエゾン・高齢者ケア委員会の全委員
精神科医師、精神保健福祉士、公認心理師、認知症看護認定看護師

活動内容・特徴

  • カンファレンスとラウンド
    患者さんの状態や身体的拘束の必要性について話し合い、病棟を巡回して患者さんの様子を直接確認しています。
  • 病棟カンファレンス
    各病棟でも、身体的拘束に関するカンファレンスを定期的に開催し、チームメンバーも参加して情報共有や助言を行っています。
  • 情報共有と研修
    定期的に委員会を開催し、院内の身体的拘束の状況や改善策について話し合っています。得られた情報は各部署に共有し、職員の研修にも役立てています。
  • 指針・記録の見直し
    身体的拘束に関する指針や記録方法を定期的に見直し、より良いものへと改善しています。
  • 病院管理者への報告
    チームの活動内容や院内の身体的拘束の状況を病院管理者に報告し、病院全体で取り組みに繋げています。

当院では患者さんの安全を守りつつ、できる限り身体拘束を減らすための取り組みを積極的に行っています。その中心となるのが「身体拘束最小化チーム」です。

感染制御チーム

対象

患者さん、訪問者、職員、学生、ボランティア、提携業者など

チームの目的

病院に出入りする全ての人を医療関連感染から守る。

チームメンバー

インフェクションコントロールドクター(感染制御医師)、感染制御専門・認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、感染管理認定看護師、臨床検査技師、医療環境管理士、医療事務担当者

活動内容・特徴

医療関連感染防止における諸対策の実践と推進を行っています。院長の直接的管理下にあり、ICD、専従のCNICが中心となる少人数で実働性の高い専門家チームです。感染管理室内に設置され、院長が一定の権限を委譲し、全ての職員に対して組織横断的に活動しています。全ての感染管理プログラム活動を推進するために、迅速かつ的確な情報伝達と決断力を持ち、感染拡大防止に向けた早期発見と経路遮断などの活動を展開するため、ICT会議を週1回開催しています。会議時には院内感染対策ラウンドも実施し、病棟だけではなく、院内全体の感染対策に関する状況把握・指導を行っています。

抗菌薬適正使用支援チーム

対象

感染症が疑われる患者さん、感染症に対し抗菌薬治療がおこなわれている患者さん

チームの目的

抗菌薬などを使用した感染症治療を安全・効果的に実施できるよう、また耐性菌の出現を最小限に抑えるため適切な抗菌薬治療をサポートする。

チームメンバー

インフェクションコントロールドクター(感染制御医師)、感染制御専門・認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、感染管理認定看護師、臨床検査技師、医療環境管理士、医療事務担当者

活動内容・特徴

感染症治療には、原因となる病原微生物を殺菌する抗菌薬を投与し、体の排除機能(免疫力)をサポートします。この時に使用する抗菌薬は、対象となる細菌に応じて適切に選択し、投与する患者さんの状況に応じて適切な量・期間で使用することが重要になります。これらが不適切だと治療に難渋したり、副作用の出現頻度が高くなることがあります。また、従来有効だった抗菌薬が効かなくなる耐性化が増加する原因ともされており、世界的な課題となっています。

抗菌薬適正使用支援チームは、入院中患者さんに抗菌薬が処方された場合や病原微生物が検出された場合、主治医より相談を受けた場合に、適切な抗菌薬治療が実施されるよう確認・提案することで感染症治療をサポートしています。

褥瘡対策チーム

対象

褥瘡(床ずれ)のリスクがある患者さん、褥瘡のある患者さん

チームの目的

多職種のチームメンバーで褥瘡のある患者さんのベッドサイドに訪問し、褥瘡の処置およびケア方法、ポジショニングや環境調整について一緒に検討して指導や助言を行うことによって、ケアの向上を図ることを目的に活動している。

チームメンバー

形成外科医、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士

活動内容・特徴

病棟における褥瘡対策への支援と、院内褥瘡回診での褥瘡治療、適切な体圧分散マットレスの選択、ポジショニング、栄養管理、薬剤面から褥瘡ケアのカンファレンスを開催している。また、褥瘡発生の情報発信、予防用具と適性使用の管理、院内勉強会の開催、各病棟に所属するチームの担当看護師の育成および連携した情報発信を行っている。

フットケアチーム

対象

糖尿病・透析治療を行っており、足の血管病変に注意が必要な方
足に傷や潰瘍がある・足の色が変化している(黒・紫)方
足の血管が細くなり、痛みやしびれの症状がある方、その他
胼胝(たこ)鶏眼(うおのめ)肥厚爪や巻き爪の相談も受けています。

チームの目的

足を十分観察する事により、異常の早期発見・早期治療・再発予防に繋げる事を目的としており、適切な観察が行えるようにスタッフへの教育や啓蒙活動を行なっています。 足の症状を適切に評価し、病状に合わせた処置を行いつつ患者指導に力を入れています。

メンバー

心臓血管外科医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、フットケア指導士、看護師、技師装具士、 理学療法士、放射線技師、臨床検査技師、管理栄養士

活動内容・特徴

〈入院〉
入院患者に対して、足の病状で困った時の相談窓口の役割を果たしています。毎週フットケア回診でカンファレンスを行い、医師の診察と処置の実施、スタッフへ処置方法の指導を行っています。足の傷や変形がある場合、患者の足に合ったインソールの提案や作成を行っています。

〈外来〉
日本フットケア・足病学会認定の講習会を受講した専門医およびフットケア指導士資格を持つ看護師、技師装具士が専任となり、診療に従事しています。足の観察・洗い方、傷の処置方法や外用薬の付け方など、ご自宅でできるセルフケアの指導や爪切り・鶏眼処置やフットウエア・インソール作成を行っています。足の病状が悪化していた場合には、治療や検査がスムーズに受けられるよう、心臓血管外科外来と連携しています。

足の症状でお困りの方は、フットケア外来までご相談下さい。

栄養サポートチーム

栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)

NSTとは、多職種からなるチーム医療で、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士などが参加する栄養療法の専門チームです。

目的

「万病に効く薬はないが、栄養は万病に効く」と言われるように、栄養療法はすべての医療の基本となります。栄養状態が良いと、予定通りに治療が進み、早期退院が可能となったり、治療自体を最後まで継続することができます。しかし、栄養状態が悪いと、治療効果が十分に得られなかったり、合併症を引き起こすリスクが高くなったりします。そこで、多職種で連携し、カンファレンスや回診を行い、最良の栄養療法を提供するために活動しています。

活動内容

週に1回、カンファレンス及び回診を行っています。回診日以外も、必要に応じて病棟担当管理栄養士が必要な介入を行います。栄養状態不良と判定された場合以外にも、経管栄養の適正使用についての指導助言なども行っています。また、主治医や病棟、他のチーム(緩和チームや褥瘡チームなど)からの栄養に関するコンサルテーションも受けています。

緩和ケアチーム

対象

病気の時期に限らず、悪性腫瘍など生命を脅かす疾患に伴う痛みや症状及び精神面・社会面・スピリチュアルの苦痛を抱えている患者とその家族

チームの目的

急性期病院での緩和ケアの質の向上を目指し、患者や家族のQOLを高められるケアを提供する

メンバー

身体・精神症状担当医師、看護師、薬剤師、MSW、公認心理師、マッサージ師、理学・作業療法士

活動内容・特徴

当院緩和ケアチームは主治医からの依頼をもとに活動を行います。患者の状況に合わせて医師、認定看護師が継続的に伺い、主治医や病棟看護師と相談して問題を解決していきます。患者と家族が抱えている苦痛を理解し、多職種と協働しながらサポートしていきます。緩和ケアチームの一員である薬剤師、MSW、公認心理師などがいつでも相談を受けられる体制を整えています。

人工呼吸ケアサポートチーム(Artificial Respiratory Care Support Team)

対象

集中治療室(ICU)、救命救急病棟(ECU)以外の一般病棟において、人工呼吸器管理中として呼吸器ケアを要する患者さん

チームの目的

(1)一般病棟における人工呼吸器装着中の患者さんの回診を行い、呼吸器ケアを要する患者さんに対するケアの質と安全性の向上を図る。
(2)患者さんが人工呼吸器から早期に離脱できるかどうかを見極め、安全に離脱できるよう支援する。
(3)一般病棟に勤務する普段人工呼吸器に慣れていない看護師、医師に対して、人工呼吸管理についての不安や負担を軽減できるように支援する。

チームメンバー

集中治療室(ICU)専従医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士

活動内容・特徴

毎週火曜日、回診対象の患者さんのカンファレンスを実施した後、一般病棟へ訪問します。回診では人工呼吸器の作動確認を行い、患者さんの呼吸状態や人工呼吸器との同調性を確認しながら、安全で快適な呼吸ができるよう人工呼吸器の設定を調整します。
また、一般病棟看護師の人工呼吸管理に対する不安や看護ケアについてアドバイスし、必要に応じて勉強会を開催しています。
普段から人工呼吸管理をしているICUの看護師もARSTチームの一員として活動しており、夜間帯に一般病棟で呼吸管理上のトラブルが発生した場合でもすぐにかけつけ、24時間患者さんに対応できる体制をとっています。安全な人工呼吸管理ができるよう、多職種で協力して運営しています。

院内迅速対応チーム

対象

RRS(Rapid-Response-System)の対象は、以下の状況などに該当する患者さんです。

  1. 頻呼吸・徐呼吸
  2. 血圧低下
  3. 頻脈・徐脈
  4. 意識レベルの低下や痙攣
  5. 胸痛
  6. 何らかの状態変化を認め、看護師からの要請があった場合など

チームの目的

入院中の患者さんが突然の状態変化に陥った場合に、迅速かつ適切な対応を行うことで救命率を向上させることを目的としています。

チームメンバー

ICU医師、救命救急科医師、麻酔科医師、心臓血管外科医師、循環器内科医師、救急看護認定看護師、集中ケア認定看護師、看護師、医療安全管理者兼臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師、診療放射線技師、医療事務担当者

活動内容・特徴

RRSの主な活動内容は以下の通りです。

  1. 早期警戒システムの運用
    全入院患者のバイタルサインを定期的にモニタリングすることによって、急変の 危険性を把握すると共に、病棟スタッフと共有し対応方法の確認・検討を行います。
  2. 患者状態の判断と適切な対応
    急変前の症状(急変予兆)のある患者に対し、集中治療に特化したメンバーが状況を判断し、ICUへの移送や迅速な治療を行う事で、患者の重症化を最小限とします。
  3. チーム間の連携の促進
    患者の治療に関わる多数の医療スタッフの間で連携を強化し、それぞれの専門性を活かした治療介入により重症化を防ぎます。
  4. 教育とトレーニング
    RRSチームの役割や活動内容、対応方法などの周知をすると共に、急変予兆についての教育やその対応方法についてトレーニングを行います。