遺伝子細胞生物検査センター
当センターは従来の臨床検査に加え、細胞表面マーカー検査、遺伝子検査など、これまで一般の病院で実施することが難しかった専門性の高い検査を導入するため、2004年度に新設された部門です。
認定骨髄検査技師、認定血液検査技師、遺伝子分析科学認定士1級、2級臨床検査士(血液)、緊急臨床検査士、認定認知症領域検査技師、がんゲノムコーディネーター、NST専門療法士、超音波検査経験者等、など様々な経歴を持つスタッフによって構成され、形態・蛋白・遺伝子の異常を総合的にとらえ、腫瘍性病変や感染症の診断・治療に有用な情報を臨床へ提供できるよう業務に取り組んでいます。
2014年には国際的な臨床検査の標準規格であるISO15189の認定を取得しました。特に造血器腫瘍関連の遺伝子検査は市立病院クラスとしては全国で初めて認定を受けました。
2020年2月からいち早く新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査を院内にて開始し、2023年5月の5類感染症移行まで365日24時間PCR検査の対応を行いました。現在は術前検査、転院時、自費診療など様々なニーズに対応し早期診断・感染予防に努めております。
道南地区の基幹病院として、地域の皆様に高度な医療を提供するとともに、周辺の医療機関との連携を深め、更なるサービス向上を目指し努力していきたいと考えています。
骨髄像検査
骨の中には赤血球や白血球、血小板などをつくる部分があり、骨髄液と呼ばれる液体で満たされています。この骨髄液を採取し、顕微鏡で観察することによって、白血病等、造血器疾患の原因となる細胞を検索します。
細胞表面マーカー検査
血球の表面には細胞の性格を表す様々な抗原が付着しています。白血病や悪性リンパ腫をはじめとする造血器腫瘍には様々な種類があり、フローサイトメーターと呼ばれる機器で細胞の抗原性を調べることによって、腫瘍細胞の性格を分析し、診断や治療に有用な情報を提供します。3レーザー(8カラー)用いて造血器腫瘍解析、B細胞表面免疫 グロブリン解析、多発性骨髄腫マルチパラメーター解析や高感度PNH血球測定など有用な情報を臨床に提供しております。今後はMRD解析なども視野に検討を進めて参ります。
8カラー解析報告書(多発性骨髄腫)
高感度PNH血球解析報告書
遺伝子検査
DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基が一定の配列で並んでいます。ヒトのDNAには32億の塩基対があり、この中の約5%が実際に使用される部分で、遺伝子と呼ばれています。遺伝子検査ではPCRという遺伝子の特定部位を大量に増幅する技術を利用し、微量な検体から病気の原因と成り得る遺伝子異常を検出することで、高感度で信頼性の高い結果を迅速に報告しています。
Major BCR-ABL・minor-BCR-ABL・PML-RARA・RUNX1-RUNX1T1・CBFB-MYH11・WT1等、造血器腫瘍のキメラ遺伝子の検出を中心に、IgH-bcl2、FLT3/ITD変異解析、JAK2遺伝子変異、キメリズム解析、免疫関連遺伝子再構成(IgH・TCR)、新型コロナウイルス(Covid-19)、カリニ、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス、薬剤代謝関連因子のUGT1A1遺伝子多型、子宮頚癌の要因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)タイピング、検討中項目(HHV-6、百日咳、結核菌、抗酸菌、インフルエンザ、BRAF-V600E、KRASなど)などを実施しています。また、臨床からの個別要望に対応し、様々な検体(FFPEなど)からの核酸抽出を行い、新たな反応系の構築にも取り組んでいます。
造血幹細胞移植関連業務
当院血液内科は骨髄移植推進財団の移植認定施設です。造血幹細胞移植は同胞間だけではなく、「さい帯血移植」や「非血縁者移植」も可能です。末梢血幹細胞採取時には輸血・細胞治療センターと協力し、造血幹細胞(CD34)数測定業務を担当します。
その他使用機器
・バイオアナライザ(DNA / RNA / Protein の電気泳動装置)
・微量紫外可視分光光度計、など・・・。
細菌・ウイルス迅速検査
簡易キットを用いて、咽頭や鼻腔などを擦過した綿棒、喀痰、便などから感染症の原因となる細菌やウイルスを素早く検出します。