がんゲノム医療センター
がんゲノム診断・医療の時代
当院は2024年2月1日付で「がんゲノム医療連携病院」に指定されました。 がんゲノム医療連携病院は、「がんゲノム医療中核拠点病院」と連携して、がん遺伝子パネル検査による医療の提供、遺伝カウンセリングの実施やがんゲノム医療に関する情報提供などの役割を担う病院です。当院は、がんゲノム医療中核拠点病院である北海道大学病院と連携して、がんゲノム医療を行います。
がんゲノム医療とは
がんゲノム医療は、がんが発生した臓器ではなく、がんの原因となる遺伝子の変化に基づいて診断・治療を行う医療です。患者さんのがんの遺伝子を調べることで、一人ひとりのがんの特徴がわかり、より適した治療を選べる可能性があります。
がん遺伝子パネル検査について
2019年6月からがんゲノム医療におけるがん遺伝子パネル検査が保険適用となりました。この検査は、がんの発生に関わる数百個程度のがん関連遺伝子の変異を一度に網羅的に調べることができる検査です。手術検体や生検組織検体など、がん組織の検体を用いた検査のほか、なんらかの理由でがん組織での検査ができない場合や、血液での検査を優先したほうが良いと判断される場合には血液検体を用いての検査も可能となっています。
検査を受ける上でご理解いただきたいこと
がん遺伝子パネル検査においては、遺伝子変異に適した抗がん剤が必ず見つかるとは限りません。また、候補となる抗がん剤が判明してもそれが保険適用外であるという場合も少なくありません。それらの理由で、遺伝子変異にもとづいた治療に至る患者の割合は、一般的に10~15%程度と言われています。
なお候補となった抗がん剤が保険適用外であっても、臨床試験や治験、先進医療、患者申出療養などの制度を利用して使用できる場合があります。
現時点では、検査を受けられる患者さんの対象は、
- 標準治療のない固形がんの患者さん(稀少がん)
- 標準治療が終了しているあるいは修了見込みとなる固形がんの患者さん
また、検査の結果が出る時点で化学療法等の治療に耐えうる体力が見込めない患者さんは、検査を受けられない場合があります。
そして、検査によって家族間でがんを発症する可能性の高い遺伝子を受け継いでいることが判明することがありますが、その場合は遺伝カウンセリングなどの対応も可能です。
がん遺伝パネル検査の流れ
全工程に係るおおよその期間(6~8週)程度
検査を希望されたら
- 当院に受診している患者さんは主治医にご相談ください
- 他院から検査を希望される患者さんは、現在受診している医療機関にご依頼ください。
検査の説明
担当医あるいはコーディネーターよりがん遺伝子パネル検査についての説明を受けていただき、検査について同意をいただきます。
患者さんからの生検・採血(必要な場合のみ)
- 検査に用いることができるがん組織の標本が既にある場合には必要ありませんが、標本が古すぎる等の理由で検査に使えない場合には、新たにがん組織の採取(生検)をさせていただきます。
- 検査の種類によっては採血をさせていただく場合があります。
お支払い(1回目)
検査の開始に必要な費用をお支払いしていただきます。
外来診療費+44万円の保険料負担(3割負担の場合で13万2千円) ※高額療養費制度対象
検査の実施
- 検査会社にがん組織や血液を送り、検査会社がゲノムを解析します。
- 検査会社から返ってきた結果を、がんゲノム医療の専門家集団、病理医、薬物療法専門医そして担当医からなる「エキスパートパネル」で検討し、適切な抗がん剤の有無や適応の可能性のレポートを作成し、担当医師に返却します。
検査の説明
担当医から結果の説明をします。
お支払い(2回目)
検査の実施と説明に関わる費用をお支払いしていただきます。
外来診療費+12万円の保険料負担(3割負担の場合で3万6千円)※高額療養費制度対象
検査費用
がん遺伝子パネル検査(診療報酬) | 560,000円 |
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患者さん負担額 一例 ※保険証3割負担の場合 | 168,000円 |
※上記費用は検査のみの費用となっており、他に診察料(初診・再診)等がかかります。
※検査結果で有効な治療情報が得られなかった場合でも、上記検査費用はお支払いいただきます。
※高額療養費が適用になりますので、詳しくはがん相談支援センターまでお問い合わせください。
がん遺伝子パネル検査申し込みの流れ
検査を希望される場合には、ご自身のかかりつけ医療機関から当院へのご紹介が必要です。かかりつけ医療機関からの情報をもとに、当院で検査の適格性を確認後、がんゲノム医療外来受診日程をご連絡します。
- がんゲノム医療外来診療日:毎週月曜日 14時~(要事前予約)
1. 「がんゲノム医療外来申込書」の提出
がんゲノム医療外来申込書
宛先:市立函館病院 がん相談支援センター(がんゲノムコ-ディネーター)
FAX 0120-50-3620 (道外からFAXの場合 0138-43-8310)
内容確認後にコーディネーターより、ご連絡いたします。
2. 病理検体の提供
病理検体の腫瘍含有量や検査の適格性の判断をしますので、FFPE(組織)ブロックの送付をお願い致します。
※以下の病理検体の条件では不適格となる場合があります。
- 採取から3年以上経過したもの
- 腫瘍含有率が20%以下のもの
- 放射線照射部位組織
病理検体はなるべくブロックで、郵送をお願いいたします。
※ブロックを送付できない場合は、当院の未染標本作成手順に沿って標本スライドの作成をお願いいたします。 検査不適格の場合は組織検体を再度採取するか、血液(リキッド)での検査提出について、当院がんゲノム担当医師から連絡があります。
②~⑤は病理検体とともに同封して郵送してください。
①検体送付依頼書
②検体送付時チェック表
※未染標本の場合はこちらをご確認ください 未染標本の場合(PDF 185KB)
③検体送付・受領書
④既知の遺伝子検査結果確認用紙
⑤がんゲノム医療外来専用 診療情報提供書
宛先 : 市立函館病院 がん相談支援センター(がんゲノムコ-ディネーター)
〒041-8680 函館市港町1丁目10-1 TEL(0138)43-2000(代)
3. エキスパートパネル後の患者情報
定期的な患者情報確認のため、情報提供依頼をさせて頂きますのでご協力お願いします。
お問い合わせ先
受診に関するご不明点等については、がん相談支援センター(コーディネーター)までお電話でお問い合わせください。
市立函館病院 がん相談支援センター(がんゲノムコーディネーター)
電話:0138-43-2000
受付時間:平日9:00~17:00
センター長紹介
畑中 一映(はたなか かずてる)Kazuteru Hatanaka
- 主な経歴
平成7年 北海道大学医学部卒業
平成14年 国立がんセンター研究所分子腫瘍学部リサーチレジデント終了
平成15年 北海道大学大学院医学研究科博士課程修了
- 専門分野
消化器内科
- 指導医・認定医・専門医
-
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本消化器病学会認定 指導医、消化器病専門医、北海道支部評議員
日本消化器内視鏡学会認定 指導医、消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構認定 がん治療認定医